2024年9月8日(日)、公益財団法人永守財団はホテルオークラ京都にて『第十回永守賞表彰式典』を開催し、第十回永守賞表彰式ならびに研究助成2024贈呈式を行いました。
会場には、web開催時(2020~2022年実施)に会場にお越しいただけなかった第6~8回永守賞受賞者および、助成対象者を含む多くの学術関係者をはじめ、永守賞受賞者、研究助成受贈者、財団関連の皆様方約200名にご出席いただきました。
永守賞については、受賞者6名による講演が行われた後に審査委員会が開催され、「第十回永守賞大賞」にピーター サージェント氏(ゲント大学 教授)が選出されました。
表彰式では、冒頭、堀審査委員長から審査経過報告が行われ、「第十回永守賞大賞」の受賞が発表された後、永守理事長より受賞者の皆様に表彰状・賞牌を贈呈いたしました。
これを受け、受賞者代表としてサージェント氏から、受賞の喜びの挨拶をいただきました。
続いて、助成事業「研究助成2024」について、大学助教等24名(新規助成9名、継続助成15名)の研究に対し、助成金の贈呈が行われました。
これを受け、助成対象者代表として大友 佳嗣 氏(長崎大学 助教)から、助成に対する謝意を込めた挨拶がありました。
今回の式典では、特別講演『永守賞大賞を受賞して』と題し、第6・7・8回永守賞大賞受賞者3名(ノッティンガム大学 教授 クリス ジェラーダ氏、アイントフォーヘン工科大学 教授 トム オーメン氏、トリノ工科大学 教授 ジャンマリオ ペレグリーノ氏)にご講演いただきました。
また、ご来賓を代表して、表彰式では文部科学省 文部科学事務次官 藤原 章夫 様、祝賀会では京都府知事 西脇 隆俊 様にご祝辞ならびに京都市長 松井 孝治 様に乾杯のご発声を頂戴し、盛会のうちに終了しました。
Peter Sergeant
Full Professor, Department of Electromechanical, Systems and Metal Engineering, Ghent University/ Core Lab MIRO, FlandersMake@UGent
この度は、第10回永守賞大賞に選定いただき大変光栄です。私は、モータ技術の進歩と革新、及び研究者、開発エンジニアを支援すると共に、地球環境を保護するという永守賞の目標を強く支持します。 私が電気機械とドライブに強い興味を持ち始めたのは約25年前に工学の勉強をしている頃でした。当時の社会では地球環境についてあまり興味が持たれず、また電気機械が経済を脱炭素化することが見出されていませんでした。今日では、エネルギー効率が高く、持続可能性のある電気機械およびドライブは、産業と電動モビリティの両方において、環境にやさしい世界を作るために極めて重要な技術となりました。
私は、自身の電気機械への情熱が、より持続可能な世界に貢献できることを嬉しく思っております。 エネルギー効率、出力密度および持続可能性をいずれも増加させることが私の研究の主な目標となります。効率と出力密度は、主に巻線と強磁性部品の3Dプリントにより実現されます。また、より優れた冷却技術も活用します。持続可能性は、電気機械の新たな材料と製造技術を検討すること、また、ベアリング誘導電流と巻線の部分放電に関する研究により、製品寿命を延ばすことで実現されます。この研究は、環境負荷を最小限に抑えた電気機械を市場に投入するために、産業界と共に推進しています。 学士、修士、博士課程での教育と育成も極めて重視しています。学生たちは、電気機械やドライブ分野での研究と開発を将来も続けてくれるでしょう。永守賞を創設した永守理事長の構想は、電気機械とドライブ分野の学生、および全ての研究者を勇気づけ、奮い立たせています。最後に、博士課程の学生、博士研究者、並びにその他の同僚、永守賞大賞に繋がるこの研究結果を実現させてくれた皆さんにあらためて感謝いたします。