2021年9月5日(日)、『第七回永守賞表彰式典』を開催し、第七回永守賞表彰式ならびに研究助成2021贈呈式を行いました。
コロナウィルスの影響により、前回に引き続き、日本電産株式会社本社ANNEXグローバル研修センターみやこホールをメイン会場として、受賞者および研究助成者代表にはリモートにて出演いただき、映像的にこれらを組み合わせてWebにてLIVE配信し、国内外の多くの学術関係者、財団関連の皆様方約210名にご視聴いただきました。
永守賞については、受賞者6名による講演が行われた後に審査委員会が開催され、「第七回永守賞大賞」にはTom Oomen氏(アイントホーフェン工科大学 教授)が選出されました。
表彰式では、冒頭、堀審査委員長から審査経過報告が行われ、「第七回永守賞大賞」の受賞が発表された後、永守理事長より受賞者の皆様に表彰状・賞牌を贈呈いたしました。これを受け、受賞者代表としてOomen氏から、受賞の喜びの挨拶をいただきました。
続いて、助成事業「研究助成2021」について、大学助教等30名(新規助成10名、継続助成20名)の研究に対し、助成金の贈呈が行われました。これを受け、助成対象者代表として新竹 純 氏(電気通信大学 助教)から、助成に対する謝意を込めた挨拶がありました。
また、今回の式典では、ご来賓を代表して文部科学省 文部科学事務次官 藤原 誠 様にリモートにて出演いただき、ご祝辞を頂戴し、盛会のうちに終了しました。
Tom Oomen/Full Professor, Department of Mechanical Engineering, Eindhoven University of Technology
この度は名誉ある第7回永守賞大賞を賜り、大変光栄です。永守財団の永守理事長を始め、審査委員会、さらには選考過程にご尽力頂いた皆様に深く感謝申し上げます。モータは、ヘルスケア、輸送および通信を含む今日の社会のほぼすべての活動の中核に位置する、「運動」をつかさどるキーテクノロジーです。私は、多くの優秀な若手研究者とともに、高精度メカトロニクスのための先進的なモーションコントロールにおいて、根本的なブレークスルーを目指して研究に没頭できたことは幸運でした。私たちの新しいデータ駆動学習アルゴリズムと新規のモータコンセプトは、新世代の超精密・超高速メカトロニクスシステムを実現しました。私たちの成果を元に、産業界の仲間と共に、世界で最先端のリソグラフィーIC製造のためのウェハーステージをさらに改善し、ムーアの法則を継続させ、社会に貢献する技術革新を可能としたことは、極めて刺激的な体験でした。また、新たなモータコンセプトのための学習制御を通じて、電子顕微鏡や望遠鏡を改善し、新規の科学的発見を可能としたことも私にとって極めて有意義でした。さらに、再生可能エネルギー向けの風力発電機の制御改善、および集中治療室の患者のための人工呼吸器のための送風モータの正確な制御のために、それぞれの専門家と協働できたことも私の喜びとするところです。実際に、モータ技術および制御はあらゆるところで使われており、私たちの持続可能な将来のために重要な役割を果たすことを強く信じております。
今回永守賞大賞の受賞に力づけられ、さらに質が高くインパクトの強い科学的研究を通じて、そして何よりも才能のある若い研究者を教育し協働することで、持続可能な開発ゴールに貢献したいと考えております。この機会に、このすばらしい道のりを共に歩んでくれたこれまでの学生と同僚、世界中の学術界、産業界の共同研究者、および家族に感謝したいと思います。