第5回永守賞表彰式典(2019年)
2019年9月8日(日) 京都ホテルオークラにおいて、『第五回永守賞表彰式典』を開催し、第五回永守賞表彰式、ならびに研究助成2019贈呈式を行いました。
会場には、多くの学術関係者をはじめ、永守賞受賞者、研究助成受贈者、財団関連の皆様方約200名にご出席いただきました。
永守賞については、受賞者6名による当日の講演、およびパネル展示が行われた後、審査委員会が開催され、「第五回永守賞大賞」に加藤 崇氏(日産自動車株式会社 総合研究所 EVシステム研究所 主任研究員)が選出されました。
表彰式では、冒頭、堀審査委員長から審査経過報告が行われ、「第五回永守賞大賞」の受賞が発表された後、永守理事長より受賞者の皆様に表彰状・賞杯を贈呈いたしました。これを受け、受賞者代表として加藤氏から、受賞の喜びの挨拶をいただきました。
続いて、助成事業「研究助成2019」について、大学助教等30名(新規助成10名、継続助成20名)の研究に対し、助成金の贈呈が行われました。これを受け、助成対象者代表として相曽 浩平氏(早稲田大学 助教)から、助成に対する謝意を込めた挨拶がありました。
また、今回の式典では、特別講演 (1)『 イノベーションを生み続けるために 』益 一哉氏(東京工業大学 学長)、(2)『 電力変換効率99.9%への挑戦とその研究の変遷 』河村 篤男氏(横浜国立大学 名誉教授)が行われました。表彰式、贈呈式など式次第を終えた後、祝賀会を開催し、盛会のうちに終了しました。
第5回「永守賞大賞」受賞者および研究テーマ
- 加藤 崇
- [日産自動車株式会社 総合研究所 EVシステム研究所 主任研究員|日本]
- 可変磁束特性を用いた車両駆動用モータの高効率化
第5回「永守賞」受賞者および研究テーマ ※アルファベット順、敬称略
- Radu Bojoi
- [Professor, Chairman of the Power Electronics Innovation Center (PEIC), Dipartimento Energia "Galileo Ferraris", Politecnico di Torino | ルーマニア]
- For contributions to electrical drives control
- Ayman M. EL-Refaie
- [Thomas and Suzanne M. Werner Endowed Chair Professor, Department of Electrical and Computer Engineering, Opus College of Engineering, Marquette University | 米国]
- High-Speed Permanent Magnet machines for Transportation and Aerospace Systems
- Mohammad S. Islam
- [Chief Scientist – Electromagnetics, Halla Mechatronics | 米国]
- Contributions to electric motors and electromagnetic actuators and sensors for safety critical
automotive applications
- Jianxin Shen
- [Professor, Deputy Dean, College of Electrical Engineering, Zhejiang University | 中国]
- An Outstanding Scholar in Permanent Magnet Electrical Machines and High Speed Electrical
Machines for Design, Control and Applications
- Bram Vanderborght
- [Professor, Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, The Brussels Human Robotics Research Center(BruBotics), Vrije Universiteit Brussel and Flanders Make | ベルギー]
- For his groundbreaking work on compliant and self healing actuators for safe and energy efficient human-robot interaction with applications in health and manufacturing
第5回「永守賞大賞」受賞者 加藤 崇 氏のコメント
加藤 崇(かとう たかし)/ 日産自動車株式会社 総合研究所 EVシステム研究所 主任研究員
この度は大変栄誉ある永守賞大賞を受賞させていただき、モータの研究・開発に携わるものとして、この上ない喜びを感じております。関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
小職は1997年に日産に入社して約5年間、車両開発の業務に従事しました。その後、将来の電動車時代において、主要技術の一つである車両駆動用モータの研究開発に取り組むべく2001年に現在の所属部署に移って以降、次世代の駆動用モータの研究開発に取り組んでまいりました。
現在の車両駆動用モータでは永久磁石同期モータ(PMSM)が多く用いられています。高性能な希土類永久磁石、低鉄損な鉄芯材料、高密度巻線技術、磁気回路設計・解析技術の進歩等によりPMSMは小型・高効率な特性を実現していますが、低速大トルクから高速巡航まで広い駆動範囲が求められる駆動用モータではまだまだ技術革新の余地が残されており、その一つに可変磁束技術があります。今回、我々が取り組んできたこの可変磁束技術について高い評価をいただき、受賞につなげられたことは大変光栄であると同時に、研究開発の方向性が世の中のニーズと合致していたのだと改めて認識することができました。
今後もモータ・パワーエレクトロニクスの研究開発を通して、持続可能で人にやさしい社会実現の一助となれるよう、技術革新に邁進していく所存です。
これまでの研究活動に多大な御理解・御協力を賜った日産自動車㈱ 総合研究所 EVシステム研究所及び、上司・同僚の皆様方、研究遂行にあたり多くの有益な御助言やアドバイスをいただいた共同研究先の先生方、そして長きに渡り私を支え続けてくれている家族に感謝の意を表したいと思います。