2-4-2 クローポール型PMモータ

ハイブリッド型の一つの変形が、クローポール型PM型モータです。

俗に、PM(permanent magnet)型と呼ばれているモータの多くは、実際は、このクローポール型モータを意味していることが多いようです。

図2.56 にモータの構造を示します。モータの固定子は、リング状に巻いたコイルと板金加工による歯が、2個組み合わされています。

鉄板の爪型の部分を、クローポール(claw pole、claw-tooth)あるいは誘導子と呼びます。

コイルを挟み込んでいる爪は、上下が互いに噛み合うよう組み合わされます。

コイルに通電すると、誘導子は、N極 S極 N極 S極という順序に磁化されます。

典型的なクローポール式PMモータは、AB2相のコイルに、各24個の誘導子(クローポール)がついています。コイルは、バイファイラ巻にするのが一般的です。

クローポール型PMモータの構造
                 図2.56クローポール型PMモータの構造

ロータは、誘導子と同じピッチで着磁したフェライト磁石や希土類磁石を使います。

磁石がAB両相に渡って直線になっているときは、A相とB相を互いに1/4歯ピッチずらします。

クローポール式は当初、さほど重要視されていませんでした。しかし、板金加工技術が発達して、位置決め精度が高まった1970年代後半から利用が急速に発達してきました。

この型式のモータは、ステップ角を小さくすることは苦手ですが、製造コストが低い点に大きな特長があり、パソコンやプリンタだけ­でなく、家電製品にも好んで利用されています。

<一口コラム> 誘導子

クローポールを、誘導子(inductor)と呼ぶこともあります。誘導子とは、NSNSの磁極をつくり出す構造というぐらいの意味です。クローポールをもつモータを「Inductor motor」ということがありますが、誘導モータ(induction motor)と混同しやすいので、注意しましょう。

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