ソリューション事例
次世代モータ制御技術の開発
HB型ステッピングモータと同等の位置制御をブラシレスDCモータで実現する制御技術の開発に成功。複合機をはじめ様々な製品分野で高効率化、小型・軽量化を実現。
- NEEDS
- 現在使っているHB型ステッピングモータをさらに高効率化したい
- SOLUTION
- 従来のブラシレスDCモータと次世代制御技術の融合
高精度位置制御を実現する次世代制御技術の開発
複合機の紙送り用途やATMの紙幣搬送用途など、正確な位置制御が求められるアプリケーションにはHB型ステッピングモータが多く使われていますが、製品をより省エネにしたい、小型化したいといったニーズが出てきました。
そうしたニーズに応えるため、主力製品のブラシレスDCモータと次世代制御技術を融合させ、HB型ステッピングモータと同等の位置制御を実現するブラシレスDCモータを開発しました。位置制御の高精度化により、HB型ステッピングモータと同様のステップ駆動や保持動作が可能となります。
たとえば大型複合機の場合、HB型ステッピングモータは10個以上使用されていますが、HB型ステッピングモータとブラシレスDCモータは基本的な駆動方式や位置制御精度が異なるため、従来はニーズがあってもブラシレスDCモータでは基本要求特性を満たすことが出来ませんでした。
しかし、次世代モータ制御技術の開発によって、ブラシレスDCモータでも市場のニーズを満たせるようになり、複合機用途において以下のようなメリットを提供出来るようになりました。
次世代制御技術の実現までの過程
入力パルスに対して回転角度を制御するHB型ステッピングモータに対して、ブラシレスDCモータは電源オンの状態から波打つように指定位置へと収束していきます。従来HB型ステッピングモータが使われていた用途でブラシレスDCモータを使用するためには、正確な速度制御、起動時のばらつきの低減、という二つの課題を克服する必要がありました。
そこで、前者に対しては高精度光学式エンコーダと制御法の開発、後者に対しては品質工学の応用によって制御因子の解析を行いパラメータを最適化することで、ブラシレスDCモータの特性をHB型ステッピングモータの特性に合わせ込みました。
また、ブラシレスDCモータは目標回転数に到達するまでは電流制限の範囲でフル加速します。目標回転数に到達してから減速するため、回転速度がオーバーしてしまい、うねりと表現される回転数の変動が生じます。この変動をすばやく収束させる新しい制御法の開発によって、素早い加減速が可能となりました。その結果、複合機用途において求められる、1枚目の印刷時間を短縮するという機能を実現させることが出来ました。
今後の展望
現在当社では、複合機に加えて、ATMやロボット・搬送機・監視カメラなど、HB型ステッピングモータが多く使われている分野において、お客様のニーズに応じたブラシレスDCモータの提案を進めています。
最近では、社内のソフトウェア開発専任チームによって完全ソフトウェア制御の次世代インテリジェントモータ開発に成功。ブラシレスDCモータの制御応答性を改善することで、高度なOA機器・家電製品やサービスロボットなど、応用分野をさらに広げながら、利便性の高い省エネ社会の実現に貢献して参ります。