ソリューション事例
増大する熱負荷に対応する水冷システム
- NEEDS
- CPUなどの高性能化に伴い、増大する熱負荷に対応したい
- SOLUTION
- 水冷システムなどで要件に応じた熱対策ソリューションを提案
近い将来、データセンターの熱対策は水冷システムが主流に
近年、ICTサービスの運用を支えるデータセンターでは、CPUやGPU、ASICなどの高性能化により熱負荷が大きく増大し、お客様の発熱対策に対する要求は厳しさを増しています。Nidecでは、放熱ファンやヒートシンク、水冷などの多様な熱対策製品を組み合わせて最適なソリューションを提供しています。
近い将来、冷却システムの主流になると考えられているのが、水冷システムです。一般に300Wを超えるCPUでは、ヒートシンクやファン、空調などによる冷却システムでは不十分と言われています。300W-1000WのハイパワーCPUが正常な稼動を維持して演算処理効率を向上させるためには、水冷システムによる適切な発熱処理が必要と考えられます。
水冷システムの利点は冷却性能の高さだけではありません。水冷の電力消費量の低さは空冷に対する大きなアドバンテージの1つであり、サーバ運用全体にかかる電力の20~30%を節電できるという試算もあります。
HDD制作の設備・技術を応用して高信頼性、低コストの製品を実現
こうした優位性があるにも関わらず、水冷システムが普及してこなかった要因には、経年劣化などによる水漏れで機器を破損させることが懸念されていました。そのため、水冷システムを導入する際は、製品の信頼性や耐久性の高さは極めて重要なポイントです。その点におけるNidecの強みは、世界No.1シェアを保有するHDDスピンドルモータ等の精密な設計・シミュレーション・加工技術や設備を有することです。こうしたリソースをクイックカップリングなどの様々な部品の製作に応用し内製することで、高い品質や信頼性、耐久性を満たしつつ、安価な水冷システムの提供が可能になっています。
冷却性能や設置コストが異なる3タイプの水冷システム
Nidecの水冷システムは、いくつかのタイプに分かれています。以下、冷却性能が高い順に紹介します。
◎水-水交換タイプ(Liquid to Liquid CDU)
冷却性能が最も優れるタイプです。ファシリティウォーターを用いて稼働するため配管の設置などが必要です。より広く冷却するためのLCM、CDMとのセットでの冷却ソリューションの提案も可能です。また、万一故障した際にシステムを止めずに入れ替え(ホットスワップ)ができるよう、キーとなるパーツの電源、ポンプ、コントローラにおいて冗長性を持たせ、リスクの最小化を実現します。
◎水-空気交換タイプ(Liquid to Air)
水-水交換タイプに比べると冷却性能は下がりますが、水配管が不要なため比較的設置しやすく、スペースの削減やイニシャルコストの低減が可能です。
◎閉ループタイプ(Closed-loop Liquid Cooling)
サーバに置くだけで高効率な放熱が可能なタイプです。ファンやヒートシンクでは処理が難しい熱負荷に対応します。
ビッグデータや5Gなどの普及に伴い、サーバの性能やサイズにおけるメーカー間の競争は激化しています。極限までの改良が求められる製品開発の現場では、ファンも汎用品で済ませるわけにはいかず、Nidecのエンジニアも同席し共同で開発を進めています。顧客の仕様に合わせた高付加価値製品の提供は、Nidecの得意とするところでもあり、これからもニーズの吸い上げや提案力を高めていきます。