ソリューション事例
データセンターの熱移動に対応する空冷ファン
- NEEDS
- 自社サーバに最適な冷却ファンを開発してほしい
- SOLUTION
- 設計時からの協働体制で技術力を最大限に活かしたカスタマイズ製品を供給
データ時代の影の主役、サーバ安定運用の鍵を握る冷却ファン
サーバが積み上げられたラックが林立するデータセンター。デジタル社会を支える影の主役です。サーバもPCと同じようにCPUやHDDを搭載していますが、多くのクライアントから24時間利用されており、信頼性や性能、拡張性において、PCより非常に高いものが求められています。そのため、サーバにはマルチプロセッサ、冗長性のある電源やファンなどが採用されています。加えて今日では、限られたデータセンターのフロアで、できるかぎり大量のデータを処理したいという要望もあり、一台一台のサーバ内に、高密度にデバイスが設置されています。
そのため、サーバを冷却し熱暴走から守るためには、ファンにも特別な性能が求められます。Nidecは2000年からサーバ用のファンを開発。風量や信頼性に加え、実機の仕様に合わせて最大効率を導き出すカスタマイズ性においても高い評価を得ています。
モータ開発力、CAE技術力を活かし、高風量、高静圧の冷却ファンを供給
風量は一般的に回転数によって決まります。PC用のファンは一般的に1分間に5000回転程度なのに対して、サーバのファンは約6倍の1分間に30000回転しています。回転数は、モータを大型化すれば速くできますが、それでは風の通り道を狭くしてしまい、風量を効果的に増やすことができません。Nidecではこれまでの開発製造で培ってきたノウハウにより、小型高出力のブラシレスDCモータを開発。羽根の形状や向きにも徹底的にこだわり、顧客企業の求める厳しい仕様に応える冷却ファンを供給しています。
また、CPUなどが高密度で搭載されるサーバの内部に風を行き渡らせられるためには、風量だけでなく、静圧(風が静止した状態で周囲を押す力)も重視されます。高い静圧を生み出すために使われるのが2つのファンを直列に繋いだ二重反転プロペラファンです。 同じ回転軸上に回転方向が逆となる2台の軸流ファンを直列にすることにより、風が旋回の力で広がるのを抑え、直進的な風の流れを作ります。Nidecでは、スーパーコンピュータを用いた解析により風の流れのシミュレーションを徹底的に行い、高風量と高静圧を両立する構造を素早く見つけ出し、製品開発に活かしています。
顧客に寄り添う共同開発体制で高性能サーバの開発に貢献
高い静圧力を持つファンモータであるため、いったんファンが故障すると、風の流路で逆流が発生し、短時間でサーバ内の温度が上昇してしまいます。そこで多数のファンを並列配置し、交換作業が完了するまでサーバの能力を確保できる冗長性も提案しています。
ビッグデータや5Gなどの普及に伴い、サーバの性能やサイズにおけるメーカー間の競争は激化しています。極限までの改良が求められる製品開発の現場では、ファンも汎用品で済ませるわけにはいかず、Nidecのエンジニアも同席し共同で開発を進めています。顧客の仕様に合わせた高付加価値製品の提供は、Nidecの得意とするところでもあり、これからもニーズの吸い上げや提案力を高めていきます。