ソリューション事例
バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)
電力供給を安定化させ再生エネルギーによる
スマートグリッド化を強力に推進
- NEEDS
- 再生可能エネルギーの電力を安定的に供給したい
- SOLUTION
- バッテリーに電力を蓄え、供給不足や過剰に1秒以内で対応するシステムを提供
近年、CO2排出の削減を目指す脱炭素化の大きな流れの中で、再生可能エネルギーの導入が進んでいます。なかでも太陽光発電や風力発電は急速に拡大していますが、こうした発電方式は電圧や周波数の変動が大きく、既設の送電網にそのまま接続すると、電力供給の不安定化の要因となります。再生可能エネルギーへの移行が進むにつれて、送電網は発電/消費の突然の変動に対してより脆弱になってしまうため、電力会社は供給の突然の過剰または不足に即時対処しうる安定した電源を必要としています。
電力供給のトラブル時に1秒以内で対応
こうした課題に対する解決策の1つがバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の導入です。再生可能エネルギーで発電された電力をバッテリーに貯蔵しておくことで、電力会社は必要なときにいつでも使用できるようになります。
Nidec Industrial Solutionsが英国のE.ON UK社に提供し、2017年から稼働しているシステムでは、供給の突然の過剰または不足に対し、同国が規格に定める応答速度である1 秒以内で対応することができます。このシステムは、2つのAC / DCコンバーターと2つのバッテリーバンクで構成されており、電気自動車約100台分に相当する10MWの電力を供給することができます。また、輸送と設置を容易にするために輸送用コンテナに収容。各ユニットには、電力変換器、変圧器、バッテリー、および制御システムが付属しています。
英国では太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー源の成長にともない、火力発電所が段階的に廃止されており、その跡地にBESSを設置する取り組みが進んでいます。この取り組みの中でNidec Industrial Solutionsは、英国のナショナルグリッド社に49MWのBESSを提供しました。これは、発電のピーク時に電力を貯めておき、需要のピーク時に電力を解放することによって送電網の周波数を安定させるために、全国で200MW規模のBESS導入を進めるプロジェクトの一部です。このシステムは、バッテリーモジュールと電力変換器、変圧器、制御システムを収納し、プラグアンドプレイを可能にした20個のコンテナで構成されています。
スマートグリッドソリューションをトータルで提供
再生可能エネルギーの導入が飛躍的に進むドイツでもBESSの導入は進んでおり、Nidec Industrial Solutionsはドイツ最大の電力会社の1つであるSteag Energy Services社に、総ピーク出力90MW、総容量138MWhという世界最大級のシステムを納入しています。15MWの容量を持つバッテリーと制御システムを一体化したコンテナ6つで構成されるこのシステムは、周波数調整と電圧制御を通じて送電網の安定性と電力品質を高め、ドイツの再生可能エネルギー導入を支えています。
再生可能エネルギーの導入は、地中海の島でも進んでいます。仏・コルシカ島では、輸入する石油への依存度を低減し、エネルギーコストを下げる意味もあって、太陽光発電とBESSを組み合わせて導入しています。島で合計13MWのシステムが建設されており、Nidec Industrial Solutionsは、4.8MWの太陽光発電と7.5MWのバッテリーエネルギー貯蔵システムのプラント設計、建設、設置、そして試運転を担いました。また、エネルギー生産と消費を最適化する制御システムも提供しています。この出力予測機能により、プラントは必要となる電力量に対し5%以内の精度で前日に生産を予測。太陽光発電によって生成された過剰なエネルギーを貯蔵し、必要に応じて送電網に戻すように設計されています。
Nidec Industrial Solutionsは、革新的な蓄電池技術と電力マネジメント技術によって、再生可能エネルギーの導入を後押しし、温室効果ガスの排出を最小限に抑えることに貢献していきます。