サプライチェーンマネジメント

サプライヤーとのかかわり

基本的な考え方

サプライチェーンは多くの社会課題と関わりがあります。企業は自社の利益だけでなく、環境や社会全体に与える影響に配慮しながらビジネスを行う必要があります。調達先での労働者の権利や安全が守られていない場合、あるいは調達品の原材料が環境破壊につながっている場合など、サプライチェーンでの社会・環境リスクが発覚すると原材料・部品調達の停滞が発生し、企業のサプライチェーンの持続可能性が損なわれ、自社の事業継続にも影響を及ぼす恐れがあります。さらにはサプライチェーン全体の不透明性やリスク管理不足が露になり、企業の評判や信頼性が損なわれ、消費者からの不買運動や社会的な非難を受ける恐れがあります。
NIDECグループはサプライヤーとの連携により、サプライチェーン全体でCSR活動を推進しています。CSR憲章の柱に沿って立てられたより具体的な基準を「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」および「NIDECグループ人権基本方針」の中で示し、サプライヤーへそれぞれ展開しています。サプライヤーにも社会的責任を果たしていただくために、購買基本契約書では「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」の遵守を求めています。
今後も児童労働・強制労働の禁止、長時間労働の削減などの社会側面と、サプライヤーにおけるエネルギー使用や生物多様性、廃棄物・資源利用などの環境側面の両面に配慮した調達活動を通じ、サプライヤーへ協力を要請していきます。

CSR調達フロー

目標

マテリアリティ

体制・取り組み

当社グループは様々な国で製品を生産しており、そのサプライチェーンはグローバルに広がっています。当社グループは、こうした事業活動における自らの社会的責任を果たすため、環境面や社会面における課題を含めた取引先のリスク・アセスメントと監査を進めています。持続可能性のあるサプライチェーンの構築に向けた方針・規範を「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」および「NIDECグループ人権基本方針」にて示し、グローバルのサプライヤー全てに展開しています。購買基本契約書の中でもこれらの方針・規範の遵守を定めています。また、潜在的な新規サプライヤーに対してデュー・ディリジェンスを実施するため、新たに取引を開始するサプライヤーについては必ずNIDECサプライヤーCSRセルフアセスメントへの回答を依頼し、社会的課題についてのリスクアセスメントを行っています。

NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック

例1 過度な労働時間の削減に関する明確な方針

  • 時間外労働時間、最長労働時間に関わるすべての法的要件を充足する。加えて、時間外労働を含む1週間当たりの従業員労働時間が慢性的に60時間を超えるケースが認められる場合は是正措置を講じる。
  • 現地法に別段の定めがある場合を除き、従業員に対し1週間に少なくとも1日の休日ならびに法令に定められた年次有給休暇を付与する。

例2 地域の最低賃金を超える/生活賃金を満たすことへのコミットメント

  • 最低賃金、時間外賃金、法定給付その他を含む全ての従業員報酬に関する法的要件を充足する。非合法または不当な懲戒的減給を行わない。
  • 従業員が提供した労務の対価に関する正確な給与明細書を本人に対し適時に通知する。

NIDECサプライヤーCSRセルフアセスメント

CSR調達の実施状況を把握するため、NIDECグループは2018年度からNIDECサプライヤーCSRセルフアセスメントを実施し、サプライヤーに「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」および「NIDECグループ人権基本方針」の取り組み状況の報告をご報告いただいています。 調査項目は「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」第1章から第6章に沿った各分野に分かれており、合計111の項目に沿って取引先各社のCSR活動状況を評価するものとなっています。評価の高い・低いに関わらず全社にフィードバックを行い、さらなる改善を促しています。
当社グループでは取引ボリューム・重要部品・開発技術力・代替性・コンプライアンス管理などを総合的に勘案して重要サプライヤーを選定しており、選定した重要サプライヤーを中心に事業部・グループ会社各社の購入金額の上位80%を目安として、サプライヤー各社へセルフアセスメントへの回答を依頼しています。
2023年7月に実施したサプライヤーCSRセルフアセスメントでは、ニデック単体および日本国内に本社を置くNIDECグループ各社の取引先876社から自己評価結果を報告していただきました。

2021年 2022年 2023年
NIDECサプライヤーCSRセルフアセスメント実施取引先数 667社 732社 876社

セルフアセスメントの結果、サプライチェーン全体のCSRの取り組み状況が当社の基準以上であることを確認しました。今後はセルフアセスメントの回答状況と実際の取り組み状況とに乖離がないかを確認するため、必要に応じて取引先への実地監査を実施する予定です。取引先との継続的なコミュニケーションを通じて、適正なセルフアセスメントの実施とサプライチェーン全体のCSRの取り組みのさらなる向上を図ってまいります。

取引先CSR監査

当社グループでは2010年度より主要取引先に対する実地監査を行っています。2023年度には、アジアを中心とした57社の取引先を対象に実地監査を行いました。

※各社敷地内に頻繁に出入りしているサプライヤー等を指す。間接材(段ボール・接着剤・グリス・梱包テープ、パレット等)販売業者、設備メーカー、寮出入り業者(食材メーカー、警備員等)や人材派遣業者等が該当。

ニデックエレクトロニクス(タイランド)は、全ての取引先が当社CSRの趣旨を理解できるようにRBA(Responsible Business Alliance)※に関する説明を行い、取引先がCSR活動に関して質問や相談がある場合は、ニデックエレクトロニクス(タイランド)の窓口にメール連絡できるような支援体制を整えています。また、主要取引先に対してはCSR調達の説明会を開催し、事前調査票への回答結果に基づいて実地監査を実施しています。2013年度よりCSR監査基準をRBAに沿ったものとしており、新規取引先を中心に対象を選定しています。2022年度には、取引先27社へCSR監査基準への遵守を求めることを目標に活動を実施しました。このように、ニデックエレクトロニクス(タイランド)は取引先各社がそれぞれの状況に応じてCSR活動を実施できるように支援・指導を行っています。

その他、ニデックフィリピンでは新規取引先を対象としたCSR監査に注力し、環境、労働、安全衛生、マネジメントシステムといった項目に関して指摘事項が見つかった取引先に対しては、改善計画、是正処置の達成度合いに関する進捗レポートを提出してもらい、是正処置の実施を依頼しています。

※RBA(Responsible Business Alliance)とは:
RBA(2017年10月にEICCより改名)は、サプライチェーンにおける社会・環境・倫理的課題の解決を目的として設立された団体です。同団体の行動規範は、国際的に認められた主要な基準に基づき、人権の尊重、労働環境の整備、安全衛生の確保、環境保全、企業倫理の徹底、管理体制の充実に主眼を置いて策定されました。

購買担当者向けCSR研修

サプライチェーン全体でのCSR活動推進のためには、まず当社の購買担当者がCSR調達の考え方を理解することが重要です。ニデック本体および国内グループ会社では2018年度から購買担当者を対象に、「NIDECグループサプライチェーンCSR推進ガイドブック」をもとにしたCSR研修を実施してきました。2025年までに主要サプライヤーに対する人権デューデリジェンスを実施することを目指し、2022年度においては研修内容の見直しと今後の実施計画を検討しました。2023年度においては対象を購買部門以外の従業員(開発や生産、品質保証部門の従業員など)にまで広げたことにより、研修参加者数が大幅に増加しました。

2021年度 2022年度 2023年度
購買担当者向けCSR研修参加者数 250名 - 1,300名
購買担当者向けCSR研修の様子(滋賀技術開発センター)

紛争鉱物への対応

アフリカのコンゴ民主共和国及び隣接諸国(DRC諸国)が産出する鉱物資源は、電子部品の原料として重要な役割を担っていますが、これらの取引・販売が現地武装勢力の資金源となり、様々な非人道的行為を助長しています。
こうした現状を踏まえ、米国政府は2010年7月に成立した金融規制改革法で「タンタル、スズ、金、タングステン」の4種の鉱物を「紛争鉱物」と定義し、それら鉱物の取引を透明化することにより、DRC諸国の武装勢力への資金の流れを断つ方針を固めました。ニデックは同法の趣旨に賛同し、紛争鉱物に関わる方針をウェブサイト上で公開し、紛争の資金源となるような鉱物が当社製品に使用されないように、お客様や取引先様と協働しています。

※ DRC諸国
コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国、南スーダン共和国、ザンビア共和国、アンゴラ共和国、タンザニア連合共和国、ブルンジ共和国、ルワンダ共和国、ウガンダ共和国(ドッド・フランク法の第1502条)

購買基本方針 ~紛争鉱物の不使用について

米国証券取引委員会(SEC)への登録文書

Form SD & Conflict Minerals Report(2015)
Form SD & Conflict Minerals Report(2014)
Form SD & Conflict Minerals Report(2013)

※ 当社は2016年5月にニューヨーク証券取引所の上場を廃止しました。したがって、2016年以降上記SEC登録文書は作成していません。

英国奴隷法への対応

2015年に英国で発効した現代奴隷法に基づき、以下の通り、奴隷および人身売買に関する声明を開示しています。

ニデック株式会社およびその子会社に関する奴隷および人身売買に関する声明(2023年度)

※英国現代奴隷法とは:
英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act)は、英国で事業の全てまたは一部を行う製造業を含む営利組織で、かつ商品・サービスを供給し、その年間売上高が3,600万ポンドを超える会社に対し、自社の事業やそのサプライチェーンにおける奴隷や人身売買を根絶するための方針と、根絶のために実施した活動に関する情報の公開を義務付けた法律です。

Nidec Group Search