G/ガバナンス
コンプライアンス
基本的な考え方
当社は、コンプライアンス違反は社会的信用の損失および経済的損失につながる重大なリスクであると認識しています。そのためNIDECグループは、諸法令・規則、社内規則・基準、社会倫理規範等の遵守を徹底することにより、役員および従業員の倫理意識を高め、企業の誠実さを確立し、社会の信頼を獲得すべく、コンプライアンス活動を継続的に実施しています。
現在、各地域で発生する個別事案・事件に対してより迅速かつ的確な対応ができるよう、グローバルコンプライアンス体制の構築・強化を推進しています。また、従業員に対する教育を強化し、さらなるコンプライアンス意識の啓発を進め、コンプライアンスリスクを低減していきます。
目標
マテリアリティ
体制・取り組み
組織体制
当社の法務コンプライアンス部は、NIDECグループの拠点が所在する各地域(米州・中国・欧州・東南アジア)に設置した地域コンプライアンスオフィサーおよび各事業部門やグループ各社に設置したコンプライアンス責任者・推進者と連携し、グローバルコンプライアンス体制を構築、運用しています。コンプライアンス責任者は、コンプライアンスに関する諸施策の実施、展開を通じて管下の組織へコンプライアンス意識を浸透させ、コンプライアンス違反を防止する責任を負います。コンプライアンス推進者は、当該組織における具体的なコンプライアンス施策の推進および法務コンプライアンス部や地域コンプライアンスオフィサーとの連絡窓口を担当します。地域コンプライアンスオフィサーは、各地域でのコンプライアンス責任者に対する支援や内部通報受付窓口などの役割を担っています。
NIDECグループグローバルコンプライアンス体制図
規程、行動指針、基本方針
当社グループ全体のコンプライアンスに関する基本的な考え方並びに組織及び運営方法等を定め、コンプライアンス体制の確立とコンプライアンス意識の徹底を図ることを目的として、「ニデックグループコンプライアンス規程」を策定しています。
また、当社グループの役員及び従業員の行動指針として、「ニデックグループコンプライアンス行動規程」を定め、さらにこれを具体的に説明した「NIDECコンプライアンスハンドブック」を日本語・英語・中国語にて作成し、当社グループの全ての役員及び従業員に周知徹底しています。
さらに、グローバルに事業活動を展開する企業として、RBA(旧EICC)※の遵守を当社グループの基本方針としています。
※RBA(旧EICC)は、電子機器業界のサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、そして労働者に対する敬意と尊厳を持って処遇すること、さらに環境への責任とともに、業務を倫理的に行うための基準を規定するものです。例えば、「倫理」におけるビジネスインテグリティの項目では「あらゆる種類の贈収賄、汚職、強奪、および横領を一切禁止する方針を保持する」とされています。
贈収賄・腐敗防止
2016年に当社グループ全体に適用される贈収賄防止に関する社内規程「贈収賄禁止規程」を策定しました。本規程では、公務員、サプライヤー、顧客及びエージェントとの取引全般を対象としており、公務員や顧客等に対する現金・贈答品・食事・接待の提供やその他の利益提供、公務員等の職務行為に関する寄付、サプライヤーからの現金・贈答品・食事・接待の受領やその他の利益受領、代理店、エージェントの選定等について規定しています。本規程では、接待贈答の提供や授受の場面において下記の①~③の基準いずれか一つでも満たさない場合は、地域コンプライアンスオフィサーへの申請と承認の取得を義務付け、規程の適切な運用と贈収賄リスクのコントロールに努めています。
- ①提供の相手(受領の場合は当社側)1人あたりUSD100以下であること
- ②同じ相手に対する利益の提供(又は受領)が同一会計年度で2回以内であること
- ③同じ機会に提供する相手(受領の場合は当社側)が同一組織のうち4人以内であること
本規程の趣旨や内容については、当社グループの役員及び従業員に対して研修を行うことで、その浸透を図っています。また、M&Aにおいても、対象企業に贈収賄や腐敗のリスクがないかデューデリジェンスを行い、そのリスクがないことを確認しています。
なお、当社は2015年8月から国連グローバル・コンパクトに参加しており、人権、労働、環境、腐敗防止の4分野に関する10原則を支持しています。国連がその防止を推進している腐敗問題に関しては、これが持続可能な開発への大きな障害となることから、「企業は、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである」という原則にコミットしています。
内部通報制度
コンプライアンス徹底のために、当社グループ全社を対象として、全ての取締役・役員・従業員(正規社員、パート社員、派遣社員、有期雇用社員、NIDECグループ退職後1年以内の者を含む)が利用できる内部通報窓口(以下、ホットライン)、および外部の第三者窓口を設置しています。また、主に欧米拠点の取締役・役員・従業員が利用できる、外部ベンダーが運営する内部通報窓口「NAVEX」も設置しています。これら内部通報窓口では、不正会計・贈収賄・労働安全・ハラスメント・その他各種法令、社内規則および倫理等に違反する行為に関する役員および従業員からの通報や問題提起を奨励しています。ホットラインは複数言語での対応が可能で、日本・米州・中国・欧州・東南アジアの地域コンプライアンスオフィサーが通報を受領し、ニデック株式会社の法務コンプライアンス部と連携のうえ、調査と是正措置を行います。通報内容の調査結果などについては可能な範囲で通報者に連絡します。また、匿名での通報が可能であり、通報したことを理由に当該通報者が不利益を被ることはありません。解決にあたってはできる限り通報者の意向を尊重し、関係者のヒアリングなど事実確認・調査を行ったうえで適正な措置と再発防止に努めています。さらに、当社グループの役員および従業員からの内部通報の状況について、定期的に取締役会および監査等委員会に報告しています。
内部通報件数(相談含む)
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
ホットライン | 116 | 125 | 119 | 103 |
NAVEX | 107 | 218 | 235 | 312 |
※NAVEXは従来からNIDECグループの主として欧米の海外拠点で活用していましたが、2024年4月にニデックグローバル・コンプライアンス・ホットライン規程を改定し、NAVEXも同規程の適用対象である旨明記しましたので、2024年度からNAVEXで受領した通報件数を併せて開示しています。
違反行為への対処
内部通報等で役員及び従業員のコンプライアンス違反が明らかとなった場合、調査のうえ、再発防止を図ります。違反行為に関わった役員及び従業員に対しては、社内規則に基づき、懲戒委員会、取締役会の審議を経て処分を決定しています。
国内・海外での法令違反等(件)
項目 | 年度 | ||
---|---|---|---|
2021 | 2022 | 2023 | |
国内 | |||
公正取引委員会からの独占禁止法違反に伴う排除措置命令 | 0 | 0 | 0 |
不祥事などによる操業・営業停止 | 0 | 0 | 0 |
コンプライアンスに関わる事故・事件で刑事告発 | 0 | 0 | 0 |
海外(現地合弁等の子会社・関連会社含む) | |||
価格カルテルによる摘発 | 0 | 0 | 0 |
贈賄による摘発 | 0 | 0 | 0 |
その他による摘発 | 0 | 0 | 0 |
教育・啓発
コンプライアンス研修の実施
コンプライアンス推進活動の一環として、NIDECグループの役員および従業員を対象に定期的にコンプライアンス研修を実施し、コンプライアンス意識水準の維持・向上に努めています。例えば、カルテル、贈収賄およびハラスメントを含む人権課題などのテーマに関してセミナー/ディスカッションなどを行っています。講師は地域コンプライアンスオフィサーが担当し、NIDECコンプライアンスハンドブックを教材として活用しています。また、毎年1回外部講師を招き、取締役および執行役員などを対象としたコンプライアンス研修も実施しています。
国内コンプライアンス研修実績一覧(参加延べ人数)
研修項目 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
コンプライアンス研修 | 役員・管理職向け研修(外部講師による研修) | 510 | 220 | 170 |
新入社員研修 | 70 | 46 | 250 | |
中途入社者研修 | 125 | 89 | 45 | |
海外赴任前研修 | 78 | 77 | 48 | |
海外駐在員向け研修 | 584 | 70 | - | |
オンライン研修 | 2674 | 2731 | 2304 | |
対面型研修 | - | 800 | 2869 | |
輸出管理研修 | 258 | 381 | 238 | |
下請法研修 | 645 | 680 | 693 |
リスク・アセスメント
新規拠点やM&Aにより新たに加わった拠点を含む、当社グループ全拠点で、贈収賄や腐敗、人権侵害など社会課題のさまざまな観点からリスク・アセスメントを毎年定期的に行い、リスク管理に努めています。リスク・アセスメントによりリスクが発見された場合、主管部門において、リスクのレベルに応じて必要な範囲で、リスクの低減に向けた是正計画を立て、PDCAを実施しています。