2023年度特集 - 統合報告書2023

人材

社員

― 優秀かつ多彩な人材の確保・育成 ―

国際競争力が高い人材の確保・育成

基本的な考え方

 NIDECグループは2030年度連結売上高10兆円を達成し、目指す姿である「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」を実現するため、国際競争力が高い人材、すなわちグローバルに活躍できる人材の確保・育成が不可欠であると考えています。そのような人材を特に「3P(Proactive, Productive, Professional)」「問題解決力」「異文化コミュニケーション力」の3つを備えた人材と定義し、これらの能力を高いレベルで発揮できる人材を育成しています。

マテリアリティ

2022年度の取り組み

 人材育成の基本的な考え方に基づき、①経営層および重要ポストの育成、②次世代リーダー(管理職層・担当層)の育成を進め、グローバル規模での人材の早期可視化・育成・強化を推進しています。
 経営層および重要ポストの育成においては、2020年度より人材開発委員会を設置してNIDECグループ全体の重要ポストを可視化し、経営幹部がサクセッションプラン(後継者育成計画)の妥当性を議論すると共に、次世代の経営人材候補となりうる人材を発掘し、戦略的な早期育成の取り組みを行っています。2022年度においては経営人材候補の育成を加速させており、企業再建や抜擢登用等の高難度なタスクの割り当てに加え、当社理念や経営マインドの浸透を目的とした創業者による育成塾(毎月1度)を開催しています。さらに、2022年11月には上位の委員会として、指名委員会を設置し、経営層(取締役・執行役員)の選任に繋がる仕組みを構築しています。
 次世代リーダーの育成を進めるうえで、管理職層に対しては、自己のリーダーとしての強み・弱みを洗い出すための研修を実施し、個人別のフィードバックレポートをOJTに活用しております。また、日頃の上司・部下との対話(1on1)についての教育動画を国内グループ会社に展開し、自組織の部下育成やマネジメント力の強化を図っております。加えて、プロフェッショナル人材を育成・強化するために、会社機能別での切り口から多様な経験を支援する「機能軸人材マネジメント制度」を管理部門から導入しており、プロ人材となる過程において経験すべき職場・業務を通じた育成を加速させています。

今後に向けて

 次世代の経営人材候補のスコープを外国籍人材にも拡大するとともに、早期かつ計画的な育成策の実行を推進していきます。世界中のNIDECグループの経営人材候補が集い、グローバル企業のトップとして高いレベルの経営知識習得を目指す「グローバル経営大学校」(2016年開校)、「次世代グローバル経営大学校」(2017年開校)は、近年コロナ禍の影響で中断していましたが、順次再開し、知識習得と実践の場を組み合わせながら育成強化を図ります。また、次世代リーダーやプロフェッショナル人材の育成においては、自律的な成長を促進するため、自ら希望する内容を学ぶことができるカスタマイズ研修等の人材開発施策のラインナップの拡充やキャリア形成支援の強化を進めていきます。

ダイバーシティの推進

基本的な考え方

 NIDECグループは、多様性を競争力の源泉として認識しています。グローバルに事業を展開していく中で、個人が持つ違いを尊重して受け入れるとともに、その違いを最大限に活かすことによって、日々目まぐるしく変化しているビジネス環境や顧客ニーズへ効果的に対応できると考えています。世界各地に開発・生産・販売・研究拠点を持つNIDECグループでは、多様な人材が活躍しています。個人の属性や価値観にかかわらず、能力と意欲を持つ人材の採用に努めるとともに、その組織や社員1人ひとりの潜在能力を存分に発揮できる人材育成・登用や職場環境づくりに取り組んでいます。また、創業以来大切にしてきた“NIDECらしさ(理念)”を時代に合わせて磨き上げ、全社員と共有しながら、多様性の中にもベクトルの一致を醸成する取り組みを進めています。

マテリアリティ

2022年度の取り組み

 マテリアリティKPIとして定めている女性活躍の実現に向けて、組織や社員1人ひとりの潜在能力を存分に発揮できる職場環境づくりが重要だと考えています。そのため、社員間の関係性を活性化させ、各職場から組織全体へと繋がるパフォーマンスの向上を目指す組織開発を推進しています。各職場の現状を可視化する「組織パフォーマンスサーベイ」、サーベイ結果をもとに各職場メンバーにて本音で対話する「職場ワークショップ」を導入し、多様な意見を尊重しながらビジョンに基づく意思決定を進めることができる組織風土の醸成・組織の構築を進めています。
 また、キャリアに対する価値観の多様化も進む中で、社員の自律的なキャリア形成支援についても強化しており、キャリア面談の実施、キャリアプランシートの展開、社内公募などの取り組みを実施しています。取り組みの効果を定点観測するうえで、組織パフォーマンスサーベイ(2021年度導入)にキャリア意識に関する項目を組み込んでいます。こうした取り組みにより、NIDECグループを支える「組織」「ヒト」を中心とした持続的な企業成長を目指していきます。

組織パフォーマンスサーベイの平均スコア(キャリア意識に関する項目抜粋)

今後に向けて

 2005年頃から取り組んできた女性や外国籍人材の登用などの属性に関するダイバーシティ推進に加え、社員個々人の価値観やキャリア志向の多様性にフォーカスした活動を強化していきます。2022年度末時点の女性役員比率は15.0%、女性管理職比率は7.0%、女性管理職候補層比率は12.9%であり、女性の社外取締役の積極的な参画により役員比率については目標達成、管理職および管理職候補層の比率については年々増加してきたものの目標達成には至りませんでした。本指標の達成に向けて社内での育成・登用支援に継続して取り組んでいくとともに、さらにダイバーシティのスコープを広げ、属性に限らず社員一人ひとりの価値観や志向を活かすことで組織パフォーマンスを最大化していくダイバーシティ&インクルージョンの取り組みにも注力していきます。

労働安全衛生・健康経営の推進

基本的な考え方

 労働人口の縮小は世界的な社会課題であり、個人の健康管理を企業がサポートすることで限られた労働資源を大切に扱い「人材価値」を最大化する取り組みが重要となります。そのため、社員のモチベーション・生産性が向上する職場環境づくりが不可欠です。
 NIDECグループは会社と社員の協力の下、社員がその能力を十分に発揮できる安全快適な職場環境の整備と、社員の安全と健康の増進をテーマに健康経営に取り組んでいます。社内組織を横断する形で構成された健康推進委員会が中心となって健康管理・増進の仕組みを強化している他、産業医による健康セミナー、全社員を対象とした健康意識調査を実施し、健康リテラシーの向上に努めています。さらに国内事業所の敷地内完全禁煙を達成するなど、健康経営を推進しています。

マテリアリティ

健康

 社員の心身の健康推進、および当社で最大限活躍できる職場環境づくりを目指し、健康推進委員会を組織しています。各職場に応じた取り組みができるよう、各事業所に健康推進の担当者を置くとともに、健康のエキスパートである産業医や健康保険組合とも連携し、会社一体となって健康経営を推進しています。

健康経営体制

2022年度の取り組み

 社員の健康リテラシー向上を図り、社員全体の健康状態の改善・向上に繋げるべく、産業医によるヘルスセミナーを実施しています。セミナーのテーマについては、毎年実施している健康に関する社内調査「NIDECヘルスサーベイ」の結果を活用し、社員からの要望が高いテーマや健康課題に直結するテーマを中心に取り上げました(例:肩こり、腰痛、睡眠、禁煙、メンタルヘルス等)。また、健康に関して高いリスクを有する社員への対策として、健康診断結果に応じた個別保健指導の実施や精密検査受診の勧奨などを効果的に実施しています。

今後に向けて

 現在は国内のグループ各社ごとに健康管理・健康増進の取り組みを行っていますが、ゆくゆくはNIDECグループ全体での健康経営を進めるため、基盤の構築を進めていきます。産業保健体制の強化や、グループ全体の健康状態の可視化、改善のサイクルが回せるように中長期的に取り組みを実施していきます。今後も、社員の心身の健康推進ならびに社員が最大限活躍できる職場環境の実現に取り組んでいきます。

安全

 新設の事業所やM&Aにより加わった拠点を含むNIDECグループ全拠点で、社員の安全確保を最優先の課題と位置づけています。国内事業所では全事業所の安全確保に向けた施策を審議する安全衛生委員会を組織しています。今後も安全な職場環境を維持し、労働災害撲滅を目指し重大災害ゼロを目標としていきます。

2022年度の取り組み

 マテリアリティKPI達成に向けた安全活動確認およびリモート安全点検に係る計画目標を達成しました。

今後に向けて

 Webカメラを利用したリモート安全点検により製造工程および設備を確認し、引き続きグローバルレベルでの類似災害防止に努めていきます。

労働災害度数率

人権の尊重・適正な労働慣行の浸透

基本的な考え方

 当社はグローバルな事業環境における人権への配慮の重要性を認識し、国際的ガイドラインを支持しながら、人権を取り巻く課題の多様化に対応しています。NIDECグループにおけるCSR憲章では人権の尊重を掲げており、CSR憲章を補完する「NIDECグループCSR行動宣言」では強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別と非人道的な扱いの禁止、適切な賃金の保証、労働時間と休日・休暇の保証、結社の自由と団体交渉権の保証を規定しています。また、2021年には当社の人権尊重に関する姿勢と取り組みを整理した「NIDECグループ人権基本方針」を策定しました。

「NIDECグループ人権基本方針」については、下記をご覧ください。
https://www.nidec.com/jp/sustainability/social/humanrights/

 近年、職場で発生する労働・倫理問題の多くが人権管理の不備に起因すると言われております。事業所内での人権問題はもちろんのこと、サプライチェーンで発生する労働・倫理問題に関しても自社の責任と認識し、多様な人材が活躍できる職場づくりに努めます。

マテリアリティ

2022年度の取り組み

 当社は毎年、国際人権デーおよび人権週間の期間に合わせて人権の啓発推進を行っています。2022年度は「企業における人権尊重」をテーマとしたeラーニングを実施するとともに、「NIDECグループ人権基本方針」を改めてグループ全社へ周知しました。労働時間の管理については、マネジメント人数の最適化に向けた検討を進めると共に、社員の労働時間管理のマイクロマネジメントを行い、関係各所への報告・連携を適切に実施しました。
 また、月の途中に一定の労働時間に到達した従業員ならびにその上司に対し、充分なコミュニケーションを通じた業務調整を行うよう周知しました。

今後に向けて

 NIDECグループの各拠点およびサプライチェーンにおける人権リスクを把握し、それを最小化するため、人権デューデリジェンスの強化を行っていきます。具体的には、グローバルの全拠点を対象に人権基本方針を中心とする人権項目について調査を行い、適切な是正および予防に努めます。
 引き続き労働時間の適正化と労災発生の未然防止を徹底し、グループ全体で10万人を超える社員を雇用する企業としての社会的責任を果たしていきます。

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