2023年度特集 - 統合報告書2023
社長メッセージ
新たな世界へ果敢に飛び込み、
「一流のグローバル企業」を目指します。
2023年度の事業戦略
2022年度の連結売上高は前年度比17%増収の2兆2,428億円となり過去最高を更新しました。一方、営業利益は大規模な構造改革費用を計上した結果、前年度比41%減益の1,001億円となりました。2023年度はV字回復を遂げなければならないと決意を新たにした次第です。
2023年度は収益性を重視する方針へ舵を切ります。期初に定めた計画の達成と財務の健全性に、より一層の経営努力を傾け、次なる50年における成長への盤石な礎の構築に着手します。日々のオペレーションにあたっては引き続き、当社の強みであるスピード経営と「出来るまでやる」の精神に裏打ちされた業務遂行能力を最大限に発揮していきます。
当社の事業ポートフォリオにおいて二大成長分野の一つと数える車載では、電気自動車(EV)用駆動モータ「E-Axle」の新世代モデルの拡販を、もう一つの成長分野である家電・商業・産業用では、高効率モータへの置き換え需要やグリーンイノベーション関連需要の獲得を戦略の軸に据えています。また精密小型モータの分野では、引き続きIT関連の需要に応えながら電動二輪用モータや出力30kW以下の小型EV用モータなど新分野の開拓に注力します。その他製品グループでは、今期に始動した機械事業本部が扱う減速機やプレス機、工作機械といった製品分野について、積極的なM&Aも活用しつつ更なる事業規模の拡大を図ります。特に工作機械では新市場開拓を視野に入れた製品ポートフォリオの充実が今後の鍵を握ると考えています。
次の50年も必要とされる一流のグローバル企業を目指して
当社は、人類共通の重要課題の解決と、未来においてなくてはならない新たな技術の進歩・普及に事業を通じて貢献することを使命としています。
人類共通の重要課題の一つには気候変動が挙げられます。国連のグテーレス事務総長が深刻化し続けるこの課題を「地球沸騰の時代」と述べて警鐘を鳴らしたのは、皆様の記憶にも新しいかと思います。当社は高効率かつ低コストなEV用モータの開発や、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)などといった再生可能エネルギー関連のソリューションビジネスを通じて社会の脱炭素化を推進し、気候変動の解決に貢献したいと考えています。
一方、2023年6月に事業参入を発表した「空飛ぶクルマ:eVTOL」は未来社会を担う新たなテクノロジーの一つです。人口が集中する都市部において、人やモノを効率的かつ持続可能な手段で運ぶ技術を確立することは、喫緊の課題です。この解決策として注目されるのがeVTOLであり、近い将来その市場は拡大すると見込んでいます。当社はブラジルに本社を置く世界的な航空機メーカー、エンブラエル社と航空産業向けの電機駆動システムに関する合弁会社設立に向けた契約を締結しました。両社の技術を結集することで、近未来社会の新たな移動手段の可能性を共に高めていきます。
当社は環境と社会に関わるあらゆる課題の解決に寄与し、ガバナンスを徹底した経営体制のもと、技術革新の世界へと果敢に飛び込んでいく所存です。そうした事業活動を継続していった結果、50年後、100年後においても社会から必要とされる「一流のグローバル企業」たる当社の姿があると考えています。
2023年9月
代表取締役社長執行役員