会長メッセージ

創業50周年を迎えて

　今から50年前、私は当社を3名の仲間と共に始めました。それから必死に走り続け、当社は今や47の国と地域で10万人以上の従業員を抱える巨大なグループへと成長しました。連結売上高も2兆2,000億円を超え、京都でNo.1の企業になったと自負しています。これまでの50年が実を結んだ結果であると実感していますが、同時に、次の50年に向けて更なる変化を遂げなくてはならない時であるとも考えています。全従業員に対して、今が第二の創業期であると捉えて必死の努力を継続し、グローバルに事業を展開する一流の企業として名実ともにふさわしい姿を実現してほしいと伝えています。
　一流のグローバル企業を目指して、2023年度はまず、本社を含めた国内グループ会社全ての社名を「NIDEC」を冠したものに変更しました。もともと海外で使用していたブランド名にグループ全体の社名を統一することで、グローバルでの事業展開をより行いやすくする狙いです。
　また、指名委員会によって5名の副社長が選出されました。来年の4月には5名の副社長の中から新社長が選ばれる予定です。その段階で現社長である小部は代表取締役会長兼CEOとして、新社長兼COOに就任する人物を4年間サポートします。私は会長の座も代表取締役の座もCEOの座も退き、「取締役グループ代表」として集団経営体制が順調に進んでいくように見守ろうと考えています。実際の経営に関しては後継者に任せ、創業者としての私は当社が50年を通じて培ってきた企業風土がグループ全体でしっかり受け継がれていくよう、筆頭株主の立場からも厳しく指導する所存です。

連結売上高10兆円を目指して

　一流のグローバル企業を目指す過程で、私が夢としてきた連結売上高10兆円の達成もまた全従業員で果たしてほしい目標です。この目標の達成には当社製品の技術力と付加価値を向上させることは勿論のこと、効果的なM&Aを実行することが鍵となるでしょう。
　当社はこれまでも日本企業としては類を見ないほど積極的にM&Aを実行することで急速な成長を遂げてきました。日本企業が忌避しがちな「同意なき買収」もいとわずM&Aを進めてきたのは、自社の成長のみならず、「日本の企業と市場に良い刺激を及ぼしたい」という思いに基づいてのことです。当社は今後も優良企業のM&Aを行うでしょうが、こうした案件を目の当たりにした他社が積極的にM&Aを行うようになり、ひいては日本市場全体の活性化に繋がればと考えています。私も長年の経験を活かし、引き続きM&Aの積極的活用とPMIをサポートしていく所存です。

One NIDECの実現

　ここ数年は後継者問題や株価の低迷などに頭を悩ませる日が続きましたが、今は、次の50年に向けて地盤を整えポジティブに変化していく当社の姿に明るい予感を抱いています。これからは創業以来初と言っていいほど劇的に、当社の経営体制が素晴らしく変化するでしょう。学歴や社歴、年齢や性別、国籍などあらゆる属性に囚われない実力・実績主義一本の人事が徹底され、会社間の垣根を超えてNIDECグループが真に一つとなっていくでしょう。そうしてOne NIDECが実現した時、当社は一流のグローバル企業として皆様から認識していただけるものと考えています。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」に代表される当社のDNAはそのままに、志を共にするグローバル10万人を超える仲間たちが力を合わせて、次の50年にふさわしい新たなNIDECグループを実現してくれると信じています。

2023年9月

代表取締役会長