2022年度特集 - 統合報告書2022

人材戦略

中長期の成長を支える人事プラットフォームの構築に注力 執行役員 秘書室・人事部担当 平田 智子

人事部担当執行役員を務めています平田 智子です。今回は、主に当社の急成長を今後支えていく人事プラットフォームの構築についてご説明します。

人材育成

環境変化の激しい時代に柔軟に適用し、成長し続ける人材を育成するため、社員の「自律的なキャリア形成」を支援する取り組みを加速させています。まずは「キャリアを考える」支援として、年に2回、自身の経験や想いを振り返り、上司と今後のキャリアの方向性を考える面談を運用しています。一人ひとりがキャリアを考えるきっかけとするほか、部門全体で個人のキャリア形成を支援する風土醸成を促進しています。また、これらの情報はタレントマネジメントシステムで一元管理しているため、本人のスキルや意向と会社が必要とする人材をマッチングさせ、より効果的な人材配置を目指すことが可能です。
次に「キャリアを実現する」支援として、社内公募制度や計画的なローテーションを推進しています。当社は「ジョブ型」人事制度を導入していますが、特に若手社員には多様な経験を積んだ上で専門性を深めてほしいとの思いから、概ね3~5年でのローテーションを働きかけています。グローバルに活躍できるポジションを多数抱える当社の利点を最大限に活用し、社員が成長できるキャリア形成のサポートに注力していきます。
また、創業者が率いる当社においては、経営幹部人材の育成も喫緊の重要課題として認識しています。2020年度から人材開発委員会を立ち上げ、当グループの重要ポジションの後継候補者の妥当性を議論し、育成プランを策定の上、実行してきました。2021年度からは後継候補となる人材を早期に発掘育成するために、さらに若い世代から優秀人材をプールし、中長期的な育成を行っています。

人材開発&組織開発の全体像

組織活性化

組織活性化についても重要な課題と認識しています。そのため、組織パフォーマンス向上・活性化のための新たな施策として、2021年度から「組織パフォーマンスサーベイ」を人事部主導で実施しています。この施策は、所属組織の状態を可視化・課題を特定し、パフォーマンスを向上させるために、アンケート形式で実施しています。また、アンケート結果に基づき「職場ワークショップ」を組織単位で開催し、自身が所属する組織の優れた点や課題を社員同士で議論し、課題への具体的な対応を議論するフォローアップの機会を設けています。さらに、ワークショップ開催以降の施策で組織が活性化された好事例については、横展開を実施し成功体験の共有化を可能とする仕組みを構築しています。

人事制度

2021年度に導入した職務等級制度(「ジョブ型」人事制度)も、当社の中長期での成長を実現する上で重要な施策となります。
制度導入にあたっては、当社内の700近いポジションについて、それらを所管する役員・部門長に対するインタビューを行いました。職務評価を通じて各ポジションの職務や職責の大きさを定量化し、同じ部長クラスであっても担う職責によってグレードが異なるというポジションベースでの等級体系としています。
報酬についても、「ジョブ型」人事制度として外部市場の水準を踏まえた設定としており、優秀な人材の採用促進や流出抑制に寄与することが期待されます。当社グループ内においても、会社によって等級や報酬体系が異なっていましたが、当制度の適応をグループ会社まで拡大・共通化することでスムーズな人事異動が可能となります。さらに、ジョブディスクリプションの社内公開も2022年7月よりスタートしており、社員のキャリアプラン構築への積極的活用が期待されます。
加えて、「ジョブ型」人事制度導入に付随して、2021年度より「社内公募制度」もスタートしました。人員を当社グループ内から募集可能とする制度であり、募集するポジションやそのジョブディスクリプション、応募可能者等を公開した上で自主的な人事異動を促進する制度です。また、海外グループ会社、もしくは海外拠点との人材の機動的な異動を制度的に可能とすることも、人材育成・確保における重要な課題となります。2022年度より2名の外国籍執行役員が本社役員として就任していますが、今後国や地域をまたぐ人事異動が増えることが想定され、異動をスムーズに可能とする人事制度構築が必要となります。
報酬水準については、2020年度に「2023年度までに報酬3割増」を公表していますが、「Vision2025」で掲げる生産性向上とセットでの施策です。「少数精鋭」の高い生産性を持った集団を目指し、他社と比較しても競争力のある報酬水準とすることで、優秀な人材確保を促進することも意図しています。

人事制度改革のコンセプト

その他制度

その他の制度については、当社グループ内での退職金制度の統一があげられます。当社では、退職金制度は確定給付年金(DB)と確定拠出年金(DC)の二本立ての運用でしたが、2021年10月より確定拠出年金(DC)に一本化を実施しています。今後はグループ会社についても同様の制度とすることで、グループ内の人事異動がスムーズになることが期待されます。その他の制度についても、今後の当社グループの成長の基盤を整備するとの観点から随時見直しを実施していく予定です。

最後に

当社は、2023年7月23日に創業50周年を迎えるにあたり、2023年4月1日付で「ニデック株式会社」への社名変更を予定しています。国内外の連結子会社も、原則としてグループブランド名である「ニデック」を冠したものに変更し、創業50周年を迎える当社のグローバルグループ一体経営を更に進化させていきます。そのためのプラットフォーム構築に向けて、人事関連施策を日々前進させていきます。

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