2022年度特集 - 統合報告書2022
日本電産が焦点を当てる3つのTOPIC
世界的な課題に対して当社のモータ技術がソリューションを提供できる領域が飛躍的に拡大しています。
このようなチャンスを確実に掴むことに加え、当社が「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」となるよう、必要な変革は躊躇なく実施していきます。
カーボンニュートラルの達成
電力需要の急速な拡大、国際情勢の不安定化、気候変動インパクトの多様化が複雑に連鎖した結果、世界規模のエネルギー不足が深刻さを増しています。多くの国が天然ガスや石炭火力へ回帰する中、脱炭素社会への潮流が減速したかのようにみえますが、こうした環境変化はむしろ脱炭素化へ向けた世界の歩みを加速させる要因になると当社は確信しています。
当社は「2040年度カーボンニュートラルの実現」を中期戦略目標の一つとして掲げており、再生可能エネルギーの積極的な導入を通じて事業活動に起因する温室効果ガスの削減に取り組んでいます。また、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS: Battery Energy Storage System)や電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」等の製品を提供することにより、社会全体が排出する温室効果ガスの削減も目指しています。
原材料を巡る環境の変化
当社製品にも多く使われる非鉄金属および希少金属類の価格は、需要の拡大、用途の多様化および主要生産国の地政学的要因を背景に高止まりする傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の拡大期には一時的に需要が低下する傾向にあるものの、今後は気候変動対策としての電動化の潮流や5Gの普及等が金属材料全般を巡る競争の激化を招くことが予想されます。
当社は採掘段階で環境や人権、政治的な問題が懸念される原材料の削減につながる研究開発を行っています。加えて、抜本的な半導体戦略を推進したり、全世界の生産拠点を柔軟に活用することで重要な部品を内製したりする等、強靭なサプライチェーンの構築に努めています。
軽薄短小化・省エネ技術の追求
脱炭素化や省電力化、省人化、5G通信に起因する次世代技術の普及やデジタルデータ爆発といった当社が「5つの大波」と呼ぶ市場のニーズは持続的な社会の実現を妨げる課題より発生したものであり、そうした課題の解決には当社が次代の「産業のコメ」と考えるモータの軽薄短小化・省エネ化が重要な役割を果たすと信じています。
当社の電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」の第2世代は前世代と比較して20%のサイズダウンを実現しています。また、家電・商業・産業用モータ事業における主要製品の一つである家庭用冷蔵庫用コンプレッサーは、2010年のリリース時から10年間で41%のサイズダウンと66%の軽量化に成功しています。