2021年度特集 - 統合報告書2021
コーポ―レート・ガバナンス ― 強固なガバナンス体制の構築

法令遵守・コンプライアンスの徹底、リスク管理体制の整備、情報セキュリティ対策の推進

法令遵守・コンプライアンスの徹底

基本的な考え方

 コンプライアンス違反は、社会的信用の損失および経済的損失につながる重大なリスクと認識しています。そのため、日本電産グループは、諸法令・規則、社内規則・基準、社会倫理規範等の遵守を徹底することにより、役員および従業員の倫理意識を高め、企業の誠実さを確立し、社会の信頼を獲得すべく、コンプライアンス活動を継続的に実施しています。
 現在、各地域で発生する個別事案・事件に対して、より迅速かつ的確な対応ができるようグローバルコンプライアンス体制の構築、強化を推進しています。また、従業員に対するコンプライアンス教育を強化し、コンプライアンス意識のさらなる啓発を進め、コンプライアンスリスクを低減していきます。

マテリアリティ Phase2 KPI

組織体制

 当社の法務コンプライアンス部は、当社グループの拠点が所在する各地域(米州・中国・欧州・東南アジア)に設置した地域コンプライアンスオフィサーおよび各事業部門やグループ各社に設置したコンプライアンス責任者・推進者と連携し、グローバルコンプライアンス体制を構築、運用しています。コンプライアンス責任者は、コンプライアンスに関する諸施策の実施、展開を通じて管下の組織へコンプライアンス意識を浸透させ、コンプライアンス違反を防止する責任を負います。コンプライアンス推進者は、当該組織における具体的なコンプライアンス施策の推進および法務コンプライアンス部や地域コンプライアンスオフィサーとの連絡窓口を担当します。地域コンプライアンスオフィサーは、各地域でのコンプライアンス責任者に対する支援や内部通報受付窓口等の役割を担っています。

内部通報制度

 コンプライアンス徹底のために、当社グループ全社を対象として、全ての取締役・役員・従業員(正規社員、パート社員、派遣社員、有期雇用社員を含む)が利用できる内部通報窓口(Nidecグローバルコンプライアンスホットライン)を設置しています。2020年度の不正行為の疑いやハラスメント等に関する通報・相談は、合計116件で、前年度より26件減少しました。これらの内部通報の状況については、定期的に取締役会および監査等委員会に報告しています。

コンプライアンス研修の実施

 コンプライアンス推進活動の一環として、当社グループの役員および従業員を対象に定期的にコンプライアンス研修を実施し、コンプライアンス意識水準の維持・向上に努めています。例えば、カルテル、贈収賄およびハラスメントを含む人権課題等のテーマに関して、セミナー/ディスカッション等を行っています。講師は地域コンプライアンスオフィサーが担当し、Nidecコンプライアンスハンドブックを教材として活用しています。また、毎年1回外部講師を招き、取締役および執行役員などを対象としたコンプライアンス研修も実施しています。

Nidecグループグローバルコンプライアンス体制図

リスク管理体制の整備

基本的な考え方

 リスクを把握・管理することは、リスク発生時の対応力不足による損失拡大、ビジネスチャンスの喪失、格付の低下などを防ぐために必要な重要事項です。当社は当社グループを取り巻くリスク、所管部署の特定を行い、優先的に低減を図るべきリスクを特定し、事業影響の低減活動の進捗管理を行うなど、リスクの見える化・予兆管理のさらなる強化を図っています。

マテリアリティ Phase2 KPI

リスク管理体制

 当社グループでは、具体的な数値目標・定性目標として設定された長期ビジョンを実現するための中期経営計画を策定し、年度事業計画の基礎とします。策定にあたっては、中期達成目標としての実行可能性、長期ビジョンとの整合性、達成のために克服すべき課題やリスクを含めて検討し、決定します。マーケット状況の変化や進捗状況に応じて、計画の実施途中での見直し(ローリング)も行っています。
 また、当社グループ全体のリスク管理体制確立のため「リスク管理規程」を制定し、取締役会の下部組織としてリスク管理委員会を設置しています。さらに、重要な情報については毎朝のリスク会議で迅速に報告・共有し、日々の業務に活用します。また必要に応じて、経営会議の場でも幅広く討議・共有します。

BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)
 当社グループは、2014年3月より、地震、洪水、干ばつ、感染症、火災などのリスク発生を想定し、BCPのシミュレーション訓練を国内外の拠点で実施しています。2021年3月末までに累計3,100名以上の社員が訓練に参加しました。 2020年1月末には、新型コロナウイルス感染症危機管理対策本部を立ち上げ、長期化を前提としたBCPの策定を図っています。

情報セキュリティ対策の推進

基本的な考え方

 日本電産グループは、自社で生成・収集するもののほか取引先等からお預かりするものも含めて、事業活動を行う上で必要な情報を保有しています。これらの情報資産を適切に保護し、適正に利用することが非常に重要であると認識しています。保護対象には経営情報、技術情報、財務情報、個人情報をはじめとして重要性の高いものがあり、これらが毀損や漏えいした場合には顧客や市場の信頼を失うとともに、自社の競争上の優位性の低下を招き、また法制上のペナルティの対象となる可能性があります。
 そのために2019年に最高情報セキュリティ責任者(CISO)および情報セキュリティ委員会を設置し、専任部門である情報セキュリティ管理室を発足させました。またグループの各組織に情報セキュリティ管理責任者・情報セキュリティ推進責任者を配置して、グループの情報セキュリティ管理体制を構築しています。
 2019年度以降、役員および社員に対する情報セキュリティ教育を継続的に実施しているほか、毎年情報セキュリティ強化月間を設け、期間中にはその年のテーマに沿った情報発信を行って、役員や社員の情報セキュリティ意識の向上を図っています。
 今後も変化・増大する情報セキュリティリスクを把握・評価し、リスクに応じた有効な仕組みの運用とグループの情報セキュリティ管理体制で情報資産の適切な保護と適正な使用を実現し、重大なセキュリティ事故発生件数0件に取り組んでいきます。

マテリアリティ Phase2 KPI
情報セキュリティ体制図

Nidec Group Search