2021年度特集 - 統合報告書2021

製品

Nidecの技術力

社会変化に適応した製品・サービスの提供

製品の安全性と品質の追求

基本的な考え方

 世界No.1の総合モーターメーカーである当社には低環境負荷製品の供給を通じて安心・安全かつ持続可能な社会インフラづくりに貢献する義務があります。そしてその実現には各製品の環境負荷物質を継続的に低減可能なサプライチェーンの構築が欠かせません。当社製品のアプリケーションが急速に拡大するなか、目下の課題は幅広い製品群の環境パフォーマンスを高レベルで安定させる統一部材調達基準の策定、およびそれに基づく購入部品環境適合度レーティングシステムの確立です。
 また、車載事業が連結売上高の20%以上を占める一大事業に発展した現在、全ての自動車メーカーの品質ニーズを満たす上で、グローバルに統一した品質管理・品質保証の手法が重要となります。全車載製品を対象とする車載事業横断型の管理体制を強化するために、2025年度までに品質統括組織・体制を確立する方針です。
 一方、当社の車載関連製品について、市場プレゼンスの向上に伴い対処すべきリスクも拡大しています。車載製品の安全性確保は人命に関わる最優先事項であり、当社が供給する車載製品の重大な品質上の欠陥により重大な影響を及ぼさないよう、新規開発製品を中心に完成品および仕掛品の安全性アセスメントを徹底していきます。

マテリアリティ Phase2 KPI

技術環境・産業構造の変化への対応

基本的な考え方

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは技術の変遷ペースを速めており、また、カーボンニュートラルに向かっての大きな流れは産業構造そのものを大きく変化させようとしています。当社は、社会トレンドである「5つの大波」が来ることを想定しており、それに基づいた製品開発を進め、事業ポートフォリオを進化させていくことが重要であると認識しています。更に「5つの大波」に対応する新製品開発の積極的な推進とともに、世界規模で加速する脱炭素化に貢献するため、省エネルギー・省資源に寄与するモータの高効率化と軽薄短小化の継続的な追究に注力していきます。

マテリアリティ Phase2 KPI

会社の持続的成長を支える研究開発

 社会課題に基づいた大きな市場トレンド「5つの大波」分野における製品開発を活発にし、当社の持続的な成長を実現するためには、社会のニーズと会社の持続的成長をリンクさせる研究・開発組織間の技術融合が重要です。そうした幅広い統合的な研究開発を適える体制として各研究所の働きがあります。中央モーター基礎技術研究所・台湾モーター基礎技術研究所では事業本部の垣根を越えた「全社共通組織」としてモータ全般の要素技術研究を行っており、 2018年にスタートした生産技術研究所ではものづくり基盤の強化と、大学・研究機関・企業とのネットワークによる世界に貢献する技術の創造を目的として、既存の製造方法の枠にとらわれない生産技術の進化に主軸を置く研究開発を行っています。
 共通する技術的方向性は「軽薄短小化」と「高効率化・省エネルギー化」であり、「5つの大波」への適応における主要コンセプトでもあります。例えば、「脱炭素化の波」においてはEVの普及をサポートする電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」が牽引力となり、「デジタルデータ爆発の波」と「5G&サーマルソリューションの波」においてはHDD用モータや冷却装置(ベイパーチャンバー等)が主役になりますが、こうした戦略製品をさらに小さく軽量化することにより、それらが搭載されるお客様の最終製品のエネルギー効率の上昇と資源使用量削減にも大きく貢献することができます。
 また、効率的に製品を連打していくためのロードマップの策定や、製品ごとの社会貢献量の見える化などを通じて、当社の持続的成長を支える開発基盤を盤石なものとしていきます。

「5つの大波」分野における主要製品例

知的財産の保護・活用

基本的な考え方

 当社では「知的付加価値の創造による事業への貢献」を目指し、知財プロフェッショナル組織および国際競争力のある知財ポートフォリオの確保と強化を通じて知財価値の向上に努めています。有効な特許は、経営方針のもと、事業・研究開発・知的財産部門とが密接に連携し、一つひとつの発明を丁寧に育む三位一体の体制によって構築できるとの前提に立っています。技術者が積極的に新技術のアイディアやノウハウを創造する知的ハードワーキング活動を奨励するため、それを支援する発明発掘活動や事業貢献の程度に沿った表彰を行っています。一方、他社の知的財産権についても尊重し、必要に応じてライセンスや技術供与を受けたり、当社の知的財産権の相互利用も含めて知的財産の多角的な活用を進めています。
 現在当社は2025年度連結売上高4兆円を目標としていますが、その達成のためには新たな市場への参入が不可欠です。そのため、グループ会社が新中期戦略目標「Vision2025」に沿って垣根を越えた研究開発を行い、脱炭素化・省電力・省人等、今後の社会・事業変化に対応した新たな技術を創出しています。これらの技術を守り、競争優位を維持するために、将来の事業に合わせた知財ポートフォリオを構築し、継続的に知的財産の価値を評価しながらポートフォリオの転換を進めていく考えです。こうした考えのもと、 KPIを設定し、知的財産活動の取り組みに注力していきます。

マテリアリティ Phase2 KPI
知的財産活動の推進体制とグローバル拠点

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