2016年度特集 - 日本電産 中期戦略目標 Vision 2020

1. 暮らしと地球環境を支えるソリューションカンパニーへ

モータの本分はモノを動かすことですが、これに情報をやりとりする
能力が加わると、どんなことができるようになるでしょう。
世界中で動いているモータや駆動装置がやがてひとつにつながった時、それまでには思いもしなかったような解決策の種が一斉に芽吹き始めます。

人と地球の課題を解決できる、なくてはならぬ企業へ

技術革新による新製品・新事業で、未来を創造する
交通事故削減や渋滞緩和、CO₂排出量の削減を実現するために、クルマは自動運転、そしてより効率的な交通システムの実現へと向かっています。また、少子高齢化や人口減少などによる働き手の不足を補うために、生活の様々なシーンで人をサポートするサービスロボットが登場しています。日本電産グループは、IoT※1( インターネットオブシングス)やAI(人工知能)などの先端テクノロジー、技術革新を取り込んで新製品・新事業を創造し、人と地球の課題を解決できる、なくてはならない企業へと進化していきます。


※1 IoT(Internet of Things):ありとあるゆるモノがインターネットを通じてつながること。
※2 HMI (Human Machine Interface):装置やソフトウェアをはじめ、人と機械が情報をやりとりするためのモノの総称。
※3 VR(Virtual Reality):コンピュータなどによって作り出された仮想空間をあたかも現実のように体験する技術。
※4 AR(Augmented Reality): 透過型のディスプレイやスマートフォンなどを利用し、現実の風景に文字や画像などの情報を重ね合わせて表示する技術。

回るもの、動くものがつながることで世界が変わる

スーパーコンピュータとモータが一体化
現在のスマートフォンは、約40年前に30億円したスーパーコンピュータと同じ能力があります。2025年には同性能のマイクロコンピュータ(マイコン)が50円程度の値段になり、大きさもモータに内蔵できるほど小さくなります。ここ数年のうちに、回転を制御するマイコンが付き、通信で外部とコミュニケーションする「インテリジェントモータ」が、私たちの工場から次々と出荷される時代がやってきます。そうなれば、外出先から操作でき、かつ自動で最適の運転をしてくれるエアコンなどの家電、自動運転のクルマ、生産プロセスや搬送システムが自動化されたスマートファクトリーなどが次々と誕生するでしょう。遠隔操作で動くだけでなく、自分で考えて最適な行動を取るモータが、暮らしや社会を大きく変えていきます。人々の生活をより豊かにかつ便利にするとともに、工場ではムダな動きを減らすことで使用電力を従来に比べて大幅に削減し、環境問題の解決にも貢献します。

あらゆるモノがインターネットにつながる時代へ
家電やクルマ、工場の製造設備などありとあらゆるモノがインターネットに接続されるIoTの時代が到来しました。モノから発せられる情報は機械同士の通信でリアルタイムに処理されるだけでなく、データとして蓄積されます。蓄積されたビッグデータを解析し、運用計画、生産計画、設計や製品開発にフィードバックすることによって、新たな付加価値を生み出していきます。IoT時代には、そうしたビッグデータを解析する技術、膨大な情報を瞬時に処理して最適な制御を行うためのAI、そして人間と機械をつなぐHMIなどの技術が必須になります。当社グループでは、モータで培った駆動技術を中核に、オープンイノベーションを活用し、外部研究機関などと密接に連携しながらIoTの研究開発を進めています。

あらゆるところに使われるモータがIoTの主役となる
モータは21世紀の産業の米ともいわれ、ありとあらゆるところに使用されています。それらがインテリジェントモータになると、回ったり動いたりするだけでなく、センサとしてデータを送り出すデバイスとなり、IoT時代の「モノ」の代表として大きな役割を担うことになります。当社グループでは、モータ、モータをコアにしたモジュールやユニット、そしてモータを使用した製造装置、検査装置、産業用ロボットなどを世界中のありとあらゆる場所に供給しています。今後様々な分野でこうしたハードウェアをIoTでつなぎ、そこで集めたデータを分析すれば、今まで分からなかった特徴や傾向が見えるようになります。例えば、当社がインドで展開している灌漑用ソーラーポンプシステムでは、過去のポンプの稼働実績を気象データ等と組み合わせることで、より多くの収穫量が望める農法を提案できます。

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