2015年度特集 -「100年後もなくてはならぬ企業」への挑戦

3. 世界の交通事故を“ゼロ”にする

ますます増える先進運転支援システム(ADAS)装備のクルマ


クルマ社会を生きる私たちにとって、世界から交通事故を無くすことは究極の願いです。自動車メーカーはクルマの安全性向上に長年取り組んでおり、これまでは交通事故が起こった際の被害を軽減するシートベルトやエアバッグなどの機能の充実に力を入れてきました。これが今大きく変わろうとしています。被害を軽減するだけではなく、事故そのものを無くすADASの開発が急速に進んでいるのです。ADASはドライバーを支援する機能で、ドライバーに代わりブレーキをかける自動緊急ブレーキ機能が有名です。この自動緊急ブレーキ機能は2014年、国際的に影響力のあるEU及び日本の新車安全評価プログラム(NCAP※)に採用され、今では多くの市販車に搭載されるようになっています。ADASの有無が自動車購入時の選択基準の一つになりつつあります。



Our Challenges

ADASを支える基幹技術で
クルマの安全性向上に貢献

ADASの機能としては、ドライバーに代わってブレーキをかける自動緊急ブレーキに加えて車線逸脱を防止するレーンキーピング、先行車との車間距離を自動的に維持する前車追従などがあります。これらのADAS機能は、センサ、コントロールユニット(人工知能)、モータ・コントローラ、モータの4つの基幹技術によって支えられています。例えばレーンキーピング機能は、カメラセンサが車線を認識し、それを基にコントロールユニットがハンドル操作の指示を出し、それがモータ・コントローラに伝わって、ステアリング用モータがハンドル操作を行う仕組みです。日本電産グループは、この4つのうちセンサ、モータ・コントローラ、モータの3つの基幹技術分野でADAS機能の高度化に貢献しています。


〈 ADASの代表的機能 〉

■ 自動緊急ブレーキ

レーダやカメラで前方車両などの障害物を検知し、運転者に知らせるとともに、ドライバーがブレーキをかけない場合は自動的にブレーキをかけることで衝突被害を軽減するシステム。追突防止に大きな効果があります。


■ レーンキーピング

カメラで左右の車線を捉え、車線から逸脱しないようにステアリングを制御し、車体を車線中央に維持します。


高性能センサフュージョンを開発

ADASに不可欠なセンサ分野で当社はミリ波レーダとカメラの長所を組み合わせたセンサフュージョンを開発しました。車載用センサとしては、レーザレーダ、ミリ波レーダ、カメラが主に使われていますがそれぞれ一長一短があります。ミリ波レーダは測定可能距離が長く、天候や昼夜に左右されないという特徴があります。一方カメラは測定距離は短いものの物体を画像で認識できるため、車両か歩行者かといった判別が可能となる強みがあります。当社開発のミリ波レーダは、世界最小サイズで搭載自由度を飛躍的に高めており、高性能で前方200~300mまで検知できます。カメラと組み合わせたセンサフュージョンでは、悪天候や夜間でも高い検知機能を発揮できます。これらによって今後クルマの安全性向上に大きく貢献していきます。


Nidec Group Search