2015年度特集 -「100年後もなくてはならぬ企業」への挑戦
2. 世界の電力不足を解消する
世界の6分の1の人口を抱えるインドの電力消費量増加が深刻化
石油などの電力資源の確保が難しくなる一方で、新興国を中心に電力消費量は増加の一途をたどり、世界の電力不足は年々深刻化しています。とりわけ12億6千万人※1、世界第二位の人口を抱えるインドの電力消費量の増加は、世界にとって大きな問題です。インド国内の電力消費量は、米国、中国に次いで世界第三位(約1兆486億kWh(2014年3月)※2で今後も大きな増加が見込まれています。2021年度の需要は約1兆8,947億kWh※3と7年で1.8倍の伸びが予想されており、その増加量はインドの平均的な発電所約230基分の発電量に相当します。発電量の増加とともに電力使用の高効率化が喫緊の課題となっています。
Our Challenges
インド政府と連携し
インドの電力消費低減に挑む
日本電産は、インドでの省エネモータ生産を通じてインドの電力消費量低減に貢献していきます。2014年8月のインド・モディ首相来日の際、代表取締役会長兼社長の永守が民間企業として唯一単独会談を行い、翌2月の永守訪印時にも会談の機会を得ました。二つの会談を通じて両者は電力使用効率化の重要性を論じ、モータの高効率化が必須であることについて認識を一つにしました。インドで現在利用されている低効率なモータを当社の高効率モータに置き換えていくべく、2015年4月完成のラジャスタン州・ニムラナ工業団地の工場に続き、将来的にはインド全域5拠点に工場を設立し生産を拡大していく計画です。
永守代表取締役会長兼社長(写真左)とインド・モディ首相(写真右)の会談
高効率モータの普及を通じ
電力消費量を低減する
インドでは高い経済成長率と人口増加を背景に、家電・商業・産業分野を中心にモータの需要が大幅に拡大しています。現在インドにおけるモータの主流は旧式のACモータで、電力消費量が多い上、供給される電圧が不安定な中、性能が安定しないことが問題となっています。当社は、省エネ効果が高く、かつ低電圧時でも性能を落とさず稼働するブラシレスDCモータの普及を目指しています。
※2021年時点でインドのすべてのシーリングファンを当社製品に置き換えた場合の年間電力消費削減量から当社推定
〈 省エネから創エネまでインドの経済、産業の発展に貢献する 〉
インド経済の発展に伴い、今後、インドでは電力使用量の加速度的な増加が予想されており、インドでの日々の生活の中でもこれを肌で感じています。先進国では既に省エネが進み大きな改善が難しいのに対し、インドではまだ改善余地が多く、足もとの小さな改善でも将来的には何倍もの効果を生むため、私たちは今、省エネモータの普及に奔走しています。
またインドの電力不足は農業生産にも影響しています。例えばもっと電気があれば灌漑用ポンプを効率的に使うことができ、農地の開拓や有効利用を更に進めることができます。そこで当社の高効率モータや蓄電技術を生かした自ら発電する灌漑用ポンプを使えないか、可能性を探っています。
電力消費量の低減に挑むことが、インドの経済や産業の発展につながる ― そんな使命感を持って事業に取り組んでいます。