2015年度特集 -「100年後もなくてはならぬ企業」への挑戦
1. 世界のCO₂排出量を削減する
CO₂排出量の大きな割合を占める自動車
世界のCO₂排出量は、いまや約317億トン(2012年)※に達し、中でも輸送機器から排出されるCO₂量の占める割合は23%※に及ぶと算出されています。世界で深刻化するCO₂排出問題を解決する上で、自動車のCO₂排出量低減は欠かせません。そのため各国で自動車に関する環境規制が強化されています。環境規制が最も厳しいEU(欧州連合)は、2015年よりEU域内で販売される新車(乗用車)の走行距離1kmあたりCO₂平均排出量の企業別総平均を130g以下とし、さらに2020年までには95g以下にすることも求めています。この動きは日米にも広がっており、各自動車メーカーも規制に対応した環境配慮型自動車の開発に力を注いでいます。
※国際エネルギー機関(IEA)レポート(2014)
Our Challenges
エンジンの負荷を減らす
電動パワーステアリング(EPS)
デュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)
アイドリングストップ
〈 EPS、DCT 〉
自動車のCO₂排出量削減には、なるべくエンジンの負荷を抑えることにより燃料使用を減らす必要があります。そのため世界の多くの自動車メーカーではEPSの採用が進んでいます。油圧式パワーステアリングからEPSに置き換えることで約5%の燃費向上が見込まれるからです。同じく燃費向上のため、トランスミッションに燃費性能の高いDCTを使う動きも欧州メーカーを中心に始まっています。当社グループは、こうしたEPSやDCT用のモータを提供し、自動車の燃費向上、CO₂排出量低減に寄与しています。
〈 アイドリングストップ 〉
CO₂排出量を低減するため、各自動車メーカーでアイドリングストップ機能を搭載したクルマの開発が進んでいます。アイドリングストップとは駐停車や信号待ちなどの間にエンジンを停止させることであり、これによりCO₂排出量を大きく削減することができます。一方トランスミッションの油圧を高めるオイルポンプやエンジンを冷やすウォーターポンプはエンジンが止まっている間も動かさねばならず、アイドリングストップ機能を実現するには、ポンプ類を電動化し必要な時に必要な油圧や水量を確保することが求められます。当社グループはアイドリングストップに不可欠な電動ポンプ(EOP、EWP)を提供していきます。
大型車両の省エネにSRモータ※
ショベルカーのような建設用重機や鉱山で活躍する大型車両、農業用機械など産業用の大型車両の駆動力として、SRモータの普及が進んでいます。SRモータの長所は、エネルギー効率が極めて高く、電気の損失を最小限に抑えることです。建設用重機や農業用機械などでは主な動作に油圧が使われており、油圧を高めるためのエンジンが積まれています。そのエンジンの力で発電した電気を動力源とするSRモータが車両の駆動力として使われています。このように車両の駆動にエンジンを使わないことで、CO₂の排出を抑えています。
※スイッチド・リラクタンスモータ