2013年特集-100年後もなくてはならぬ企業であるために

3. 「三つの経営基本理念」が描く未来像

サステナブル社会の一翼を担う企業へ

世界に通じる理念なくして企業の存続はありません。
日本電産グループは100年後も「三つの経営基本理念」のもとでCSR経営を行い、サステナブル社会(持続可能な社会)に貢献することを目指します。

三つの経営基本理念 ①一番にこだわり何事においても世界トップを目指すこと

未来の車
未来のクルマでNo.1に

未来のクルマと聞いて、皆さんはどういうクルマを想像するでしょうか?ひとつにはオートドライブカー(全自動運転車)があるでしょう。人が運転しなくても自動的に目的地まで安全に運んでくれる夢のような自動車――、これは現実離れした話しではなく、既に複数のメーカーで実験段階にあるのです。

では、オートドライブカーを支える基幹部品はどのようなものでしょうか?答えは、①センサー、②コントロールユニット(人工知能)、③モータ・コントローラー、④モータ、⑤バッテリーの5つです。自動車の前に人が飛び出したときに自動的にブレーキをかける機能で各部品の働きを説明すると、①センサーが人の飛び出しを察知し、②コントロールユニット(人工知能)が「車のブレーキをかけよ」と指示を出す、そしてその指示に従って③モータ・コントローラーが④モータを動かしブレーキをかけます。これらの部品に電力を供給するのが⑤バッテリーとなります。

自動車用モータ・部品事業を重要成長分野と位置づける当社は、これまでも様々な用途のモータを供給してきましたが、今後供給するモータや部品の範囲を拡大したいと考えています。オートドライブカーの例では、5つの基幹部品のうちセンサー、モータ・コントローラー、モータの開発・生産を行っていきます。その土台となるのは、これまでの事業で培ってきた基礎的な技術です。例えば、センサーには、当社が得意としてきたカメラや携帯電話向けの電子・光学技術を応用できます。

「一番にこだわり何事においても世界トップを目指すこと」を経営基本理念の一つとする当社では、自動車の基幹部品でもトップを目指し、未来の車の中枢機能はすべて当社製の基幹部品が担うという夢に挑戦し続けます。

三つの経営基本理念 ②世の中でなくてはならぬ製品を生み出すこと

創エネ事業
省エネから創エネへ

今日の世界が抱えている大きな課題には、環境問題、エネルギー・水・食糧不足、貧困などがあります。その中で当社の企業特性を生かして貢献できる課題は何か、その一つの答えがエネルギー不足への対応です。
製品の省エネ設計を積極的に進めてきた当社が着眼したのは、省エネから一歩踏み込んだ“創エネ”です。モータ関連技術を生かし太陽光発電プラント建設や風力発電・水力発電用のプロジェクトにも取り組むこととしました。

その中で注目すべき製品に携帯電話基地局の電力を供給する電源システムがあります。小さな風力発電機とソーラー発電機、バッテリーを組み合わせ基地局の電気をまかなうもので、電気の通じていない地域を持つ新興国で関心が高まっています。
化石燃料からの脱却は地球的な課題であり、今後再生可能エネルギーがますます必要とされることは確かです。創エネ分野においても環境性能の高い、なくてはならない製品を生み出し続けたいと考えています。

三つの経営基本理念 ③最大の社会貢献は雇用の創出であること

雇用の創出
多様な人材が紡ぐ未来へ

1973年、4名でスタートした当社は、2013年3月末現在、世界32ヶ国で約230社、従業員10万人を擁する企業集団となりました。世界各地の事業所では国籍・民族・宗教・性別・学歴を問わず多種多様な人材が働いています。
特に、中国・インド・ブラジルなど新興国での事業拡大に伴い、現地での採用を進めているほか、国内でも主に研究開発に携わる社員を世界中から積極的に採用、育成しています。
世界の国々においては、法令を順守し慣習への配慮、人権・労働慣行および多様性の尊重へ取り組むとともに、「CSR中期ビジョン」のもと、グローバル管理体制を拡大、強化しています。

4つの事業本部のうち家電産業事業本部のトップはアメリカ人であり、当社にとってダイバーシティ(多様性)は特別な言葉ではありません。能力と適性があり成果を出せる人であれば誰にでもチャンスがあるのです。成長を源泉とした雇用の創出を続け、100年後に100万人規模の多種多様な従業員がそれぞれの多様性を活かして活躍できる――、そのような企業を目指します。

未来に向けて

未来には無限のひろがりがあります。技術の発展によってSF映画で見た夢物語の世界が現実になっているかもしれません。日本電産グループは、環境性能が高く、50年後、100年後も世界が必要としている製品を供給し続けることで、サステナブル社会の一翼を担っていく企業でありたいと考えています。
100年後もなくてはならない企業に求められるものは何でしょうか?答えは、ゆるぎない技術力と、共通の理念を持ちながら多様で柔軟な考え方のできる社員集団であると考えています。

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