持続可能な資源利用
水資源管理
基本的な考え方
NIDECグループはグローバルに事業を展開する企業として、2004年度より水資源・リスク管理に関する目標を掲げ、取水・排水および周辺地域、水源地域への影響の把握に着実に取り組んできました。M&Aを含む事業規模の拡大に伴い、事業による水資源への影響が大きくなり、その重要性も増していると認識しています。今後も、全社的に水資源の効率的な利用を推進し、節水やリユース、リサイクルの取り組みを進めるとともに、水リスクを低減する活動に取り組んでいきます。
目標
環境保全活動第七次中期計画では、取水量の削減目標を設定し、具体的な水リスク低減活動を着実に進めています。また、「水リスクアセスメントの100%実施」をマテリアリティのKPIの1つに掲げ、取水・排水の実態を把握するだけでなく、各国や地域ごとの水リスクを特定し、事業インパクトを評価していきます。そして、その評価結果に基づき、リスク低減策を立案・実行する水リスクアセスメントプロセスを確立することで、持続可能な水資源管理を推進していきます。
環境保全活動第七次中期計画
項目 | 2025年度3か年目標 |
---|---|
取水量の削減 | 原単位表示で2022年度比3%削減 |
水リスクへの対応 | 水リスクアセスメントを100%完了する |
マテリアリティ:持続可能な地球環境への貢献
取り組みテーマ | KPI(2025年度5か年目標) |
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水リスクへの対応 | 水リスクアセスメントを100%完了する |
実績
取水量
2023年度の総取水量は8,233千㎥となり、売上高原単位で2022年度比10. 0%削減となりました。水のリサイクル・リユースをはじめとする継続的な水使用の削減に取り組んだ結果、2022年度と比較し、取水量および排水量を削減することができました。
水源別取水量、排水先別排水量、リサイクル・リユース量
項目 | 単位 | 2021年度※ | 2022年度 | 2023年度 | |
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取水量 | 総取水量 | 千㎥ | 7,055 | 8,689 | 8,233 |
上水および工業用水 | 千㎥ | 6,088 | 7,142 | 6,531 | |
地下水 | 千㎥ | 958 | 1,233 | 1,451 | |
川・池・湖沼・雨水 | 千㎥ | 9 | 316 | 251 | |
排水量 | 総排水量 | 千㎥ | 3,990 | 6,637 | 6,193 |
下水 | 千㎥ | 2,885 | 5,716 | 5,059 | |
川・池・湖沼 | 千㎥ | - | 89 | 93 | |
海 | 千㎥ | 1,105 | 832 | 1,041 | |
リサイクル・リユース量 | 千㎥ | 266 | 181 | 450 |
※データカバー率:2021年度は、日本、アジアを中心とした主要拠点で、売上対比53.5%
2022年度以降はグローバル全拠点(製造拠点、研究・開発拠点、営業・管理拠点)100.0%
水リスクアセスメント
NIDECグループでは、水リスクがグローバル全生産拠点の事業活動に与える影響を評価するため、世界資源研究所(WRI)のAqueductと世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterを活用しています。この評価は、「洪水」「水不足」「水質」「水供給変動」「規制/評判」という5つの重要な項目に基づいて行われており、私たちの事業に対する水リスクの影響度を正確に把握することを目指しています。その結果、洪水によるリスク影響が38拠点、水不足によるリスク影響が40拠点で確認されたため、「洪水」と「水不足」を当社における重要リスクとして特定しました。さらに、現地情報や事業活動に関する詳細な調査を実施し、中国の5拠点、タイの3拠点、ベトナムの2拠点、インドの2拠点、合計12拠点が洪水や水不足のリスクが高いと判断しました。これらの拠点では、リスク低減に向けた一定の対策が既に講じられていることを確認しました。
水リスク(洪水リスク)の事業インパクト
NIDECグループでは、事業への影響度を把握し、的確な対策を進めるために、世界資源研究所(WRI)が提供する水リスク分析ツール「Aqueduct」を活用しています。このツールを用いて、洪水リスクが高いと評価された38拠点が全て被災した場合の影響を詳細に評価しました。さらに、国土交通省の「TCFD提言における物理リスク評価の手引き」を参考にし、固定資産や在庫の毀損、操業停止による機会損失の影響額を算出した結果、422億円の財務影響があると評価されました。
リスク | 財務影響 |
---|---|
洪水被害 | 422億円 |
水ストレス(水不足)地域の水使用状況把握
水不足による事業影響の可能性のある水ストレス地域において、水の使用状況の年度推移を個別に管理しています。水リスクにさらされている拠点は、中国(1拠点)、タイ(2拠点)、インド(2拠点)の合計5拠点で、2023年度の取水量は計949千m3です。これはNIDECグループの2023年度の取水量の12%に相当します。
水ストレス(水不足)地域の水使用状況
項目 | 単位 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
取水量 | 千㎥ | 1,100 | 949 |
排水量 | 千㎥ | 996 | 842 |
リサイクル・リユース量 | 千㎥ | 101 | 125 |
水関連リスクを軽減するための研究開発コスト
ニデックは、水関連リスクを軽減するための研究開発への投資として、2023年度に18百万円を投資しました。
2023年度の水関連リスクを軽減するための研究開発コスト
項目 | 費用額(百万円) |
---|---|
水関連リスクを軽減するための研究開発コスト | 18 |
水関連の法令違反
NIDECグループでは、2023年度の1年間を通じて、国内および海外の事業所において緊急事態対応を要する水関連の環境事故や法規制違反事例はありませんでした。
取り組み
洪水リスクに対しては、事業インパクト評価の深掘りを行うとともに、リスク低減に向けた取り組みを推進していきます。水不足リスクに対しては、水ストレス(水不足)地域における取水、排水状況の管理を強化するとともに、リスク低減のために、全社で原単位表示にて年1%の水使用量削減に取り組んでいます。また、水の使用に関する個別管理を継続し、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めていきます。これらの水ストレス地域に所在する生産拠点では、河川水量のモニタリングや必要水量を確保するための井戸を設置するなど、緊急事態に備えたリスク対策を実施しています。さらに、水管理の改善や対策事例を収集し、NIDECグループの全拠点で共有することで、水資源の管理強化と水リスクの最小化を進めています。
水のリユース・リサイクル
ニデックプレシジョン(浙江)では2023年度の水リユース・リサイクル率が総使用量の60%を超えるなど、積極的に水のリユース・リサイクルに取り組んでいます。
洗浄工程の水リサイクルフロー
水の使用効率化
ニデックパワートレインシステムズ(浙江)では、水使用量が最も多いクーリングタワーにおいて、チラー、クーリングタワー、エアハンドリングユニットの温度を細かく管理し水の蒸発量を抑制することにより、2023年度の取水量を前年度比17.6%削減しました。
水使用の効率性の高い設備へ更新
ニデックインスツルメンツ(浙江)では節水型ウォーターサーバーを導入したことにより、2023年度の取水量を前年度比2.86%削減しました。
