持続可能な資源利用

資源管理

基本的な考え方

NIDECグループはグローバルに事業を展開する企業として、2004年度より事業活動における廃棄物削減を目標に掲げ、着実に取り組みを進めてきました。M&Aを含む事業規模の拡大が進む中、資源の使用量の増加とともに廃棄物の発生も増大するため、資源の効率的な利用が重要となります。そのため、製造工程においてムダを極力出さないよう努めるだけでなく、容器や梱包材の使用を最小限に抑える取り組みも実施しています。また、高効率モータやモータを基盤とした高効率化ソリューション(EV向けトラクションモータシステムやデータセンター向け冷却デバイスなど)を提供することが、エネルギーだけでなく、石油や石炭などのエネルギー資源の効率的な利用につながると考えています。さらに、NIDECグループはモータやこれらのソリューションを製造するための工作機械も手掛けており、脱プラスチックで再評価されているアルミ缶に関連する工作機械においても圧倒的なシェアを占めています。将来的には、自社の製造工程だけでなく、お客様や社会における資源の有効利用に貢献できる施策の展開を進めていきます。

目標

環境保全活動第七次中期計画では、有害廃棄物排出量および廃棄物・有価物等発生量の削減目標を設定し、削減活動を通じて汚染防止や資源循環の取り組みを継続して進めています。さらに、マテリアリティの取り組みテーマの1つとして「廃棄物・有害廃棄物の管理」を掲げ、目標として「2025年度の廃棄物・有価物等発生量の売上高原単位を2022年度比で3%低減する」という目標を設定しています。

環境保全活動第七次中期計画

項目 2025年度3か年目標
廃棄物・有価物等の発生量 原単位表示で2022年度比3%削減
有害廃棄物排出量 原単位表示で2022年度比3%削減

マテリアリティ:持続可能な地球環境への貢献

取り組みテーマ KPI(2025年度5か年目標)
廃棄物・有害廃棄物の管理 原単位表示で2022年度比3%削減

実績

廃棄物・有害廃棄物の管理

2023年度の廃棄物・有価物の発生量は289,269トンとなり、売上高原単位で2022年度比9.7%削減されました。これは、廃棄物の分別徹底や生産効率化による資源の有効活用などの継続的な取り組みの成果です。有害廃棄物の発生量も売上高原単位で4.0%削減しました。今後も監視を続け、汚染の流出を防ぐ活動を進めていきます。

項目 単位 2022年度 2023年度
廃棄物・有価物等の発生量 t 304,245 289,269
有害廃棄物発生量 t 11,859 11,980
廃棄物・有価物等のリサイクル量 t 114,259 245,888
廃棄物・有価物等の最終処分量 t 209,216 48,191

廃棄物・有価物発生量の排出状況

2022年度から開始した資源別分類による把握では、分類が不十分であったため、その他の固体廃棄物(非有害)が155,567トンと全体の約50%を占めていました。しかし、2023年度には資源別分類の社内浸透が進んだことで、その多くが金属類に分類可能であることが判明しました。その結果、2023年度は金属類の発生量が大幅に増加しましたが、具体的な資源別の削減施策の展開に向けた準備が整ってきました。

廃棄物・有価物発生量の内訳

分類項目 2022年度 2023年度
発生量[t] 発生量[t] 比率
金属類 鉄類 60,155 156,827 54.2% 69.3%
アルミ 6,102 10,503 3.6%
3,647 4,546 1.6%
その他の
非鉄金属くず
32,919 28,525 9.9%
プラスチック類 プラスチック類 11,095 18,741 6.5% 6.5%
紙類 紙類 7,106 7,314 2.5% 2.5%
木くず 木くず 4,647 9,110 3.2% 3.2%
汚泥 汚泥 4,811 7,264 2.5% 2.5%
その他の固体廃棄物 非有害 155,567 27,381 9.5% 11.3%
有害 8,697 5,367 1.9%
液体類 廃油 5,813 5,344 1.9% 4.7%
廃酸 328 2,371 0.8%
廃アルカリ 196 267 0.1%
その他の有害廃棄物(有害) 3,162 5,709 2.0%
合計 304,245 289,269 100%

廃棄物・リサイクル処理の委託費用

「廃棄物・有害廃棄物の管理」において、遵法かつ確実に廃棄物およびリサイクルの処理を実施するためには、適切なコスト管理が必要であると考えています。2023年度の廃棄物委託費用は52百万円となりました。

2023年度の廃棄物・リサイクル処理の委託費用

項目 費用額(百万円)
廃棄物・リサイクル処理の委託費用 52

汚染と資源に関する環境負荷抑制のための研究開発コスト

ニデックは、廃棄物の発生を抑制するために、不良削減および生産性向上に取り組んでおります。2023年度の研究開発コストは187百万円となりました。

2023年度の環境負荷抑制のための研究開発コスト

項目 費用額(百万円)
環境負荷抑制のための研究開発コスト 187

取り組み

廃棄物の発生量を削減する取り組みとして、製品面では開発設計の見直しによる省資源化を推進しています。また、製造工程においては材料歩留まりの向上が重要であり、資源別の廃棄物の発生分析やロスの可視化を進め、課題の解決に取り組んでいます。資源ごとの廃棄物の発生量を分析した結果、鉄類が最も多く発生していることが明らかになり、生産時の加工ロスを改善することで削減効果が見込めることが分かりました。

この取り組みの基盤づくりとして、まずは廃棄物の分別徹底による資源循環の推進に継続的に取り組んでいます。各事業場では、産業廃棄物の保管場所を十分に確保し、分別方法を現地語で分かりやすく表示・説明するとともに、従業員の意識啓発にも積極的に取り組んでいます。ニデックグローバルアプライアンスブラジル社では、ゴミ分別に関するよくある間違いや疑問点を解決するため、ゴミ分別ルールに関する研修を行っています。ゴミ分別の知識は事業場内だけでなく、家庭や地域でも役立っています。

ニデックグローバルアプライアンスブラジル社の廃棄物管理研修

また、ニデックエレクトロニクス(タイランド)ロジャーナ工場は、タイ天然資源環境省傘下のタイ温室効果ガス管理機構が進めるプロジェクト活動に積極的に参加し、2022年度その功績を表彰されました。本取り組みでは工場廃棄物の分別を通じたリサイクル取り組みにより、廃棄物の処理から発生する温室効果ガスを738,661トン削減することができました。

ニデックエレクトロニクス(タイランド)
ロジャーナ工場のタイ温室効果ガス管理機構からの表彰

ニデックグローバル・アプライアンス・メキシコ社では環境クイズのワークショップを開催するなど、取り組みの輪は着実にグローバルに広がっています。

ワークショップの様子