化学物質管理と法規制遵守

化学物質管理

基本的な考え方

化学物質管理のアプローチ

NIDECグループはグローバルに事業を展開する企業として、各事業場において化学物質の使用や保管に十分な注意を払い、漏出を防止するとともに、生産工程の改善や革新の一環として化学物質の使用および排出量を可能な限り削減しています。また、製品に含有される有害化学物質に対する国際的な規制にも、情報システムや分析技術を活用して包括的に対応しています。

化学物質の漏出防止

NIDECグループでは、ISO14001やISO45001の認証取得を推進し、これらを基盤としたマネジメントシステムを構築・運用しています。その一環として、環境側面や危険源の特定、リスクアセスメント、管理の決定等を行い、化学物質の漏出防止や災害発生時の管理徹底に努めています。また、汚染防止のために定期的な監査や教育を実施し、従業員の意識向上を図るとともに、万が一漏出が発生した場合には適切な拡大防止策や浄化対策を講じ、環境への影響を最小限に抑える努力をしています。

目標

大気汚染の原因のひとつであるVOC(揮発性有機化合物)の排出量を「前年度比で削減する」という目標を環境保全活動第七次中期計画で設定し、その進捗を管理しています。VOCは健康問題とも密接に関連しており、その管理と削減は持続可能な環境を実現するために重要です。

環境保全活動第七次中期計画

項目 2025年度3か年目標
VOC排出量 VOC排出量を前年度比で削減する

※日本国内の事業場が対象


同様に、大気汚染物質として、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)の排出量の管理を行っています。持続可能な環境の実現に向けて、これらの大気汚染物質の排出削減に引き続き取り組んでいきます。
また、日本の法令に基づくPRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出)制度のもと、当社グループ国内事業場は同制度が指定する化学物質を使用する際の排出・移動量を把握し、管理しています。

実績および取り組み

VOC(揮発性有機化合物)の排出

2023年度のVOC排出量は93tとなり、2022年度と比較して210%増加となりました。2023年度から、M&Aにより、VOCを使用する事業場が3拠点増加した影響となります。なお、これらの3拠点を除いた比較においては、2022年度比で6.7%削減となりました。引き続き、環境負荷が懸念される化学物質の代替物質への切り替えを進めるとともに、VOC排出量削減に努めていきます。


VOC排出量

項目 単位 2022年度 2023年度 前年度比
VOC排出量※1 総量 t 30 93 210%増加
2022年度と同じ事業場に限定した場合※2 t 30 28 6.7%削減

※1 日本国内の事業場が対象
※2 2023年度にM&Aにより加わったVOC使用事業場の3拠点を除いた場合

NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)の排出

2023年度のNOxの排出量は6.1t、SOxの排出量は9.9tでした。持続可能な環境の実現に向けて、NOxおよびSOxの排出削減に引き続き取り組んでいきます。


NOx、SOx排出量(排気濃度に排気量を乗じた量)

項目 単位 2023年度
NOx排出量 t 6.1
SOx排出量 t 9.9

※日本国内の事業場が対象

PRTR対象物質の排出・移動量(2023年度)

(単位: kg)
<国内事業所合計>
物質名 号番号 排出量 移動量
大気 公共水域 場内土壌 場内埋立 下水道 場外移動
インジウム及びその化合物 44 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
エチルベンゼン 53 6,000.0 0.0 0.0 0.0 0.0 623.0
エチレングリコールモノメチルエーテル 58 16.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
塩化第二鉄 71 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
クロム及び三価クロム化合物 87 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
ベリリウム及びその化合物 394 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
カドミウム及びその化合物 75 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
キシレン 80 13,280.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1,584.0
銀及びその水溶性化合物 82 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
塩化メチレン 186 1,900.0 0.0 0.0 0.0 0.0 19.0
スチレン 240 14,170.0 0.0 0.0 0.0 0.0 140.0
1,2,4-トリメチルベンゼン 296 2,100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 4.0
トルエン 300 58,940.0 0.0 0.0 0.0 0.0 3,420.0
ニッケル化合物 309 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
1-ブロモプロパン 384 1,615.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
メチルナフタレン 438 8.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
メチルイソブチルケトン 737 2,326.0 0.0 0.0 0.0 0.0 110.0
ジエタノールアミン 626 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1,700.0

製品有害化学物質規制への対応

化学物質には、自然界に存在するものも含め、適切に使用すれば製品や部品の機能を著しく向上させる一方で、製品に残留すると地球環境に思いがけない悪影響を及ぼすものが少なくありません。特に、人体及び生態系へ悪影響をきたす化学物質は、法律・規則等で使用が規制されています。
NIDECグループは、以下に示す規制や削減要求に対応しながら、対象物質を製品ごとに管理し、それらの削減または使用(成分含有)の廃止を進めています。


(1) RoHS指令(主に、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀、PBB/PBDE、フタル酸エステル4種類の規制)
(2) ELV指令(主に、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀の規制)
(3) REACH規則(化学物質に関わる規制)
(4) ハロゲンフリー化要求

製品含有化学物質管理システム

NIDECグループでは、EUによる包括的な化学物質規制であるREACHの施行をきっかけに、2012年から製品含有化学物質管理システムの運用を開始し、改善を重ねながら運用しています。同システムは、次の3点が特長です。


①情報共有と進捗の可視化
当社と取引先との間において、調査の進捗状況や授受された情報が一目で把握できるようにし、オンラインでの情報共有と進捗管理を可能にしています。
②顧客対応の迅速化・正確さの向上
取引先への各種データの提供依頼をシステム上で処理するとともに、データ集計や顧客指定書式の報告書への記入を自動化することにより、短納期で、かつ正確に顧客からの要請に対応できるようにしています。
③高度な情報管理への対応
規制物質の頻繁な追加や、加工メーカーから材料メーカーまでのサプライチェーンにおける情報管理、詳細な成分表の収集・一元管理にも対応しています。

試験データの信頼性確保

ISO/IEC17025認定証

2009年3月、当社の中央開発技術研究所 精密小型モータ事業本部 品質保証統括部 品質管理部が、化学試験分野の試験所として、国際規格「ISO/IEC 17025」の認定を取得しました。
欧州のRoHS指令に基づく物質について、製品の分析結果報告書に記載されたデータの信頼性を保証するために取得したものであり、当試験所が提供するデータは、認定範囲において国際的にその信頼性が保証されます。