化学物質管理と法規制遵守
化学物質管理
化学物質管理のアプローチ
NIDECグループは、各事業所において化学物質の使用・保管等を十分な注意をもって行い、漏出を防止するとともに、生産工程の改善・革新の一環として化学物質の使用・排出量をできるかぎり削減しています。また、製品に含有される有害化学物質に対する国際的な規制にも、情報システムや分析技術を活用して包括的に対応しています。
化学物質の漏出防止
NIDECグループでは、ISO14001やISO45001の認証取得を推進し(後者は、特に主要海外生産事業所で)、これらを基礎とするマネジメントシステムを構築・運用しています。その一環として、環境側面、危険源の特定・リスクアセスメント・管理の決定等を行い、化学物質の漏出防止、災害発生時を想定した化学物質の管理徹底等の対策を講じています。また、もし漏出が起こった場合には、適切な拡大防止・浄化対策を講じています。
化学物質の排出・移動量の把握と開示
NIDECグループは、日本の法令に基づくPRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出)制度のもと、同制度が指定する化学物質で当社グループ国内事業所において使用しているものの排出・移動量を把握し、情報開示しています。なお、同制度の対象外の化学物質についても、排出・移動量を自主的に把握しています。
PRTR対象物質の排出・移動量(2022年度)
物質名 | 号番号 | 排出量 | 移動量 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 公共水域 | 場内土壌 | 場内埋立 | 下水道 | 場外移動 | ||
インジウム及びその化合物 | 44 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
エチルベンゼン | 53 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
エチレングリコールモノメチルエーテル | 58 | 16.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
塩化第二鉄 | 71 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
クロム及び三価クロム化合物 | 87 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
ベリリウム及びその化合物 | 394 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
カドミウム及びその化合物 | 75 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
キシレン | 80 | 2,300.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 40.0 |
銀及びその水溶性化合物 | 82 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
塩化メチレン | 186 | 1,700.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 18.0 |
スチレン | 240 | 16,120.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 160.0 |
1,2,4-トリメチルベンゼン | 296 | 1,900.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 3.0 |
トルエン | 300 | 29,332.4 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 610.0 |
ニッケル化合物 | 309 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
1-ブロモプロパン | 384 | 1,320.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
メチルナフタレン | 438 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
製品有害化学物質規制への対応
化学物質には、自然界に存在するものも含めて、適切に使用すれば製品・部品の機能を著しく向上させる反面、製品へ残留すると地球環境に思いがけない悪影響を及ぼすものが少なくありません。特に、人体及び生態系へ悪影響をきたす化学物質は、法律・規則等で使用が規制されています。
NIDECグループは、下記を含む規制や削減要求に対応しながら、対象物質を製品毎に管理し、それらの削減もしくは使用(成分含有)の廃止を進めています。
(1) RoHS指令(主に、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀、PBB/PBDE、フタル酸エステル4種類の規制)
(2) ELV指令(主に、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀の規制)
(3) REACH規則(化学物質に関わる規制)
(4) ハロゲンフリー化要求
製品含有化学物質管理システム
NIDECグループでは、EUによる包括的な化学物質規制であるREACHの施行をきっかけに、製品含有化学物質管理システムを2012年より運用を開始し、改善を重ねながら運用しています。同システムは、次の3点が特長です。
- ①情報共有と進捗の可視化
- 当社と取引先との間において、調査の進捗状況や授受された情報が一目で把握できるようにし、オンラインでの情報共有と進捗管理を可能にしています。
- ②顧客対応の迅速化・正確さの向上
- 取引先への各種データの提供依頼をシステム上で処理するとともに、データ集計、顧客指定書式の報告書への記入を自動化することにより、短納期で、かつ正確に顧客からの要請に対応できるようにしています。
- ③高度な情報管理への対応
- 規制物質の頻繁な追加、加工メーカーから材料メーカーまでサプライチェーンの情報管理、詳細な成分表の収集・一元管理にも対応しています。
試験データの信頼性確保
2009年3月、当社の中央開発技術研究所 精密小型モータ事業本部 品質保証統括部 品質管理部が、化学試験分野の試験所として、国際規格「ISO/IEC 17025」の認定を取得しました。
欧州のRoHS指令に基づく物質について、製品の分析結果報告書に記載されたデータの信頼性を保証するために取得したものであり、当試験所が提供するデータは、認定範囲において国際的にその信頼性が保証されます。