気候変動対策

事業活動で排出するCO₂の削減

基本的な考え方

NIDECグループはグローバルに事業を展開する企業として、2004年度から事業活動時(スコープ1・2)におけるCO₂排出量削減に取り組んできました。現在、2025年度売上高4兆円を目標として掲げており、事業規模を拡大させながらCO₂排出量を削減していく必要があります。CO₂排出量削減の主要施策である再生可能エネルギー導入が計画通り進まなかった場合、炭素税が導入された際にはコスト上昇のリスクが生じます。また、顧客や投資家からの気候変動に関する取り組みや開示要請に応えられなかった場合、取引停止や評判低下のリスクがあります。

目標

2021年7月に当社は「Vision 2025」を発表し、その中で2040年度までにスコープ1・2のCO₂排出量ネットゼロ、再生可能エネルギー導入比率を2025年度:40%、2030年度:80%にする目標を掲げました。そして、2024年3月にCO₂排出量削減に関する新たな中期目標を設定しました。当社は2030年度までにスコープ1・2での排出量を2022年度に比べて42%削減することを目指します。
この削減目標が、2024年8月にパリ協定における「1.5℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標と認められ、国際的気候変動イニシアチブのSBTi(Science Based Targets initiative)からSBT認定を取得しました。

スコープ1・2排出量削減目標

この目標の達成に向け、環境保全活動第七次中期計画では、事業による環境負荷低減の取り組みとして、スコープ1・2の削減目標を掲げています。特に重要な「2025年度までに連結ベースでの再生可能エネルギー導入比率を40%にする」を、マテリアリティのKPIの一つに掲げ、CO₂排出量削減に継続的に取り組んでいます。

環境保全活動第七次中期計画

項目 2025年度3か年目標
温室効果ガス(スコープ1・2) 2022年度比15.8%削減(総量)
再生可能エネルギー 2025年度総連結の再エネ導入比率を40%にする

マテリアリティ:持続可能な地球環境への貢献

取り組みテーマ KPI(2025年度5か年目標)
脱炭素社会の実現 2025年度総連結の再エネ導入比率を40%にする
TCFD提言に沿った気候変動シナリオの年次開示を行う

実績

2023年度のスコープ1・2のCO₂排出量は、1,027千t-CO₂となりました。生産設備や空調機などの使用条件適正化を通じた省エネ活動に加え、再生可能エネルギーの導入量増加及び9拠点での新規導入により、2022年度比5.1%の削減となりました。また、これらの取り組みにより再生可能エネルギーの導入比率は2022年度7.8%から2023年度12.6%へと向上しました。


温室効果ガス排出量(スコープ1・2)


再生可能エネルギー導入比率

取り組み

気候変動対策としてCO₂排出量を削減すべく、自社事業のエネルギー効率向上と再生可能エネルギーの導入との両輪の取り組みを進めています。全世界に300以上の拠点を持つ当社は、様々な取り組み事例を蓄積し、優秀事例をグローバル拠点に水平展開することで気候変動の緩和に貢献しています。

自社事業のエネルギー効率向上

電力消費量の削減に向け、以下のステップで省エネ活動を推進しています。

  • ・各設備の電力消費量の可視化
  • ・省エネ診断の実施
  • ・設備の使用条件の最適化

省エネ診断の実施

各設備の電力消費量を可視化し、課題を絞り込んだ上で、省エネ診断を行っています。ニデックグループ内の省エネ専門家が拠点を訪問し、現場に沿った活動を進めています。

省エネ診断の様子
省エネ診断の様子

設備の使用条件最適化

ニデックベトナムでは、射出成形機のヒーターに断熱カバーを装着することで、成形機全体で15~20%の電力消費量の削減効果が見込めます。また、設備の熱源からの断熱や排熱の誘導に加え、空調からの冷気の搬送及び上方に滞留する暖気の効率的な排出で空調設備の電力消費量を20%削減することが可能となります。これらの施策により、年間約800t-CO₂の削減効果が期待できます。これらの取り組みをニデックグループ内で順次展開していきます。

射出成形機に断熱カバーを取り付けた様子
射出成形機に断熱カバーを取り付けた様子

再生可能エネルギーの導入

次に、使用電力を再生可能エネルギーに切り替え、CO₂排出量の削減に取り組んでいます。具体的には、以下の取り組みを積極的に推進しています。

  • ・太陽光発電設備の設置
  • ・電力契約メニューの切り替えによる再生可能エネルギーの調達

太陽光発電設備の設置

ニデックプレシジョン(浙江)有限公司ではオンサイトPPAを活用し、1621kWの太陽光発電システムを導入しました。この活動で年間830t-CO₂のCO₂排出量を削減することが可能になります。
このような導入事例を他拠点にも展開し、更なるCO₂削減に貢献していきます。

ニデックプレシジョン(浙江)に導入した太陽光発電システム
ニデックプレシジョン(浙江)に導入した太陽光発電システム

電力契約メニューの切り替えによる再生可能エネルギーの調達

以下の7工場では、再生可能エネルギー電力メニューを契約しており、消費電力の100%を再生可能エネルギーで賄っています。