◆機械と工具、工具設計シミュレーションと合せた高精度かつ高効率加工の実現が高く評価される
今般、ニデックマシンツール株式会社(社長:二井谷 春彦、本社:滋賀県栗東市)は、切削面取盤「CF26A」で、第 53 回機械工業デザイン賞 IDEA「審査委員会特別賞」を受賞しました。
切削面取盤 CF26A は、ノイズの低減や伝達効率の向上が求められる電気自動車(EV)用歯車の仕上げ工程に対応した、高精度な面取り形状を実現する機械として 2022 年 10 月に発売しました。歯車の面取り部を高速・高精度に加工するとともに、面取り形状を設計するための工具設計シミュレーションも新開発。機械と工具、シミュレーションと合せ高精度かつ高効率加工を実現します。
この度の受賞においては、審査部門から4つの審査項目(①企画力・社会性 ②機能・性能・品質 ③操作性・安全性・保守性・経済性 ④造形・造系処理)について、以下の通りコメントを頂いています。
【企画力・社会性】
自動車向け歯車の量産工程において、従来のフレージング加工(塑性変形)により歯車の歯面や端面に派生する2次バリは、EV 化による歯車の静音化、高精度化に関わる課題であった。
開発では、2次バリをつくらない創生加工(切削)による面取りを検討。切削面取り加工に必要な剛性の機械構造を最適化し、切削加工の送り速度の高速化を実現してインデックス時間を短縮、ホブカッタに類似した専用面取工具を用いた加工により、面取バリレスでギヤ面取部に良好な仕上げ面品位を実現させる切削面取盤で、高速・高精度加工のニーズに応える。
【機能・性能・品質】
本機は、歯車の面取部を希望する面取形状が得られるようシミュレーション設計された専用面取カッタ“ChamferX”を使用し、ワークとカッタを 1,000min-1 で同期回転させる創成加工としている。短サイクルタイムで端面・歯面方向のふくらみや2次バリのない良好な仕上げ面の高能率加工を実現すると共に、前工程のホブ加工時に生じる端面バリも同時に除去する機能をもつ。
加工時に課題となるワークの溝と専用工具刃の「位相合わせ」に関しては、独自の回路構成技術により従来比 1/3 にまで削減した高能率加工を可能にしている。
基本性能は、制御盤での正確なカッタシミュレーションにより狙い通りの面取り形状を確保、歯底部分の加工や1mm以上の大きな面取り幅も高速・高精度に切削面取りする機能をもつ。また、製作された専用工具はホブ盤と同様の使用を可能にし、刃付けやリコートをはじめとしてランニングコストを低減している。
【操作性・安全性・保守性・経済性】
本機の最大の特色は、工具設計シミュレーションと機械ソフトの連携、および、同期確立作業専用モードの実装で、シミュレーションにより得られた各種パラメータを入力するだけで加工プログラムの自動生成と同期位相確立作業を容易にした点にある。
操作盤は、対話式画面・ハードキーによる「入力・選択」方式を採用し、NC(Numerically Control)言語の知識を不要にして操作性を大幅に向上させている。さらに、歯車の位相を合わせる歯合わせ動作を高速化するため専用設計した回路構成により、歯合わせ時間を 1/5 の2秒に短縮、高能率な面取加工を実現させている。本機は、環境負荷低減のためにクーラントを用いないドライカット方式、駆動方式やクランプ機構は油圧レスの機械構成、グリス潤滑油を基本としミスト潤滑等の作業環境悪化要因を排除、ミストコレクタ、チップコンベアを廃止するなど省エネルギーに配慮している。さらには、清掃性・保守性に関しては、マシン下部の切粉排出、背部のグリス補給などで対応している。ホブ盤との比較において、機械重量 1/4、総電力使用量 1/3 の経済的かつ高速動作が可能。
【造形・造系処理】
機械構成は、中央に開閉スライドドアをもつ加工部を中心にして、左側に回転式ローダ、右側に剛性に配慮したコラムを配している。単機能マシンとしてライン構成に対応する箱型造形を採用。機械外周カバーは角部を R 形状とするとともに、メンテナンスに配慮しつつボルト使用本数を削減し、加工室内の突起物や配線・配管など、安全性と美観配慮への対応が見られる。色彩はホワイトを基調にブランドカラーのダークブルーを配した2トーンデザイン。
【機械工業デザイン賞について】
機械工業デザイン賞は、日刊工業新聞社が、日本における工業製品のデザインの振興・発展を目的とし 1970 年に創設したものです。審査は、主に生産財を対象としており、製品の品質や安全性に力点を置くとともに、性能向上や産業振興のために、新しい時代のデザインの在りようを明らかにしていくことを目的としています。
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