- 会 社 名
- 日本電産株式会社
- 代表者名
- 代表取締役社長執行役員 関 潤
- 取 引 所
- 東証プライム(6594)
- 所 在 地
- 京都市南区久世殿城町338
- 問合せ先
- 広報宣伝部長 生島 志朗
- 電 話
- (075)935-6150
日本電産株式会社(以下、当社)は、同期リラクタンスモータにかご型誘導モータの基本原理を組み合わせる世界初のアルミケージ搭載の高効率同期リラクタンスモータ「SynRA(Synchronous Reluctance Motor with Aluminum Cage Rotor)」をアメリカ市場向けに発売しました。
かご型誘導モータは産業用の汎用モータとして使われているもので、商用電源に接続すれば起動でき、回転数を制御するインバータが不要なため導入コストを抑えることができるメリットがあり、ファンやポンプ、コンプレッサ、クレーン、エレベータ等、多くの産業機器に搭載されています。また、インバーターベースのエアコンや家電製品などの可変速需要には、シンプルで低価格のV/Fコンバータ*1で動作させることもできます。したがって、かご型誘導モータは、定速、可変速のアプリケーションに関係なく広く使用されています。一方、構造上ロータとステータの間に「すべり」と呼ばれる回転差(損失)が発生するため、後述の同期リラクタンスモータに比べて効率が低いという欠点があります。
「SynRA」はロータに特別なリラクタンス設計を行い、かご型誘導モータの「かご(ケージ)」構造を組み込むことにより、始動時には誘導モータとして回転し、運転時には周波数に同期して回転するもので、かご型誘導モータに比べ損失が少なく、高効率を達成することが可能です。また、さらに高い効率を実現するためにコントローラを使用する場合にも、従来の「同期リラクタンスモータ」のようなベクトル制御や正確な制御パラメーターを装備する必要はなく、単純なV/Fオープンループ制御*2で達成することが可能です。本製品は国際高効率規格において最高レベルのIE5を達成しており、さらに低コストで製品化できることが実証できており、かご型誘導モータからの置き換え需要が期待できます。
効率 | コスト | |
---|---|---|
かご型 誘導モータ |
△ ロータとステータの間に滑り(損失)発生 |
〇 インバータが不要もしくは簡単な制御 |
同期 リラクタンスモータ |
〇 周波数と同期するため高効率 |
△ 特殊な制御が必要 |
SynRA | 〇 同期リラクタンスモータ同等 |
〇 かご型誘導モータと同等 |
当社グループは、今後もモータの省エネ化によって電力の消費を抑え、地球環境への負荷低減に貢献する革新的なソリューションを提案していきます。
*1 V/Fコンバータ:電圧(V)を周波数(F)に、または周波数を電圧に変換する装置。電気信号は多くが電圧で出力されるが、伝送系の増幅度や直線性の変化により、電圧のままでは正確な信号伝達ができない。そのため、V/Fコンバータを用いて電圧の変化を周波数の変化に変換して伝送し、その後F/Vコンバータで伝送信号の復調を行う。
*2 V/Fオープンループ制御:インバータで交流モータの可変速を行う制御方式の一つ。構成が簡単で調整も容易である反面、一般的に制御応答性が高くないという制約があるが、SynRAにおいては、高い効率を出すことができる。
シンクロナスリラクタンスモータのダイレクトオンライン技術紹介ページURL
https://www.nidec.com/jp/technology/capability/high-efficiency-synchronous-motor/