新型コロナウイルスの世界的な拡大が進む中で、ウイルスとの闘いに貢献したい人も世界中に少なからずいます。その一人、Joshua Biro氏は、機械系エンジニアとしての腕前を活かして最前線で対応に当たっている医療従事者に少しでも役立ちたいと思い、ボランティア活動を決心しました。
Biro氏は、再使用可能なプラスチック製フェイスシールドの感染防護具を設計して、ボランティアの仲間と一緒にフェイスシールドを1000個以上生産し、最前線で休むことなく闘っている医療従事者を支援すべく、日本電産モータの本拠地である米国ミズーリ州セントルイス市にある病院に寄付しました。
機械系エンジニアのBiro氏は、商業・産業用モータ及びその制御を専門とする日本電産モータのモーションコントロール事業でロボットアプリケーションの設計を担当していますが、地域の病院で救命救急看護師として勤めるパートナーから現場で使われる個人感染防護具が不足している実態を聞いてエンジニアとしての職能を活かして自分なりに貢献することにしました。
設計の元になったのは、ニュースで報道された、3Dプリンターで作れるフェイスシールドのデザインでした。Biro氏は、設計図をインターネットで探し出してより強堅になるよう改善し、プラスチック成形のホルダーに支えられる簡単に洗浄できる透明のポリカーボネート製のシールドへと進化させました。保護性が高く、再使用可能な上に、メモリーフォームを採用したため長時間にわたって快適に使えます。 現場からのフィードバックと日本電産モータの試作品製作のケイパビリティを活かすことで、一週間も経たずに初期設計から生産段階へと進むことができました。
既に数百枚のN95マスクをセントルイス市の病院に寄付している日本電産モータは、Biro氏が考えた計画を快諾し、資材と人材のリソースを提供して、ともに計画の規模を拡大しました。他には、ミネソタ州メープルプレーン市に本社を置くラピッドプロトタイピング・オンデマンド制作に特化したプロトラブズ社の協力も得て、シールドを支えるホルダーの射出成形品を手に入れました。同社は、迅速生産の場合に通常かかる追加費用を免除し、たった4日間で部品をBiro氏の家に届けました。また、セントルイスのTuell Tool Company社のご厚意で部品を無償で組立用に切削いただきました。
日本電産モータの社員は新型コロナウイルスの対策として在宅勤務を実施していますが、Biro氏のマンションはやがてホームオフィスから在荷豊富な倉庫へと姿を変え、部品の箱の山とフル稼働するための仮設生産ラインでいっぱいになりました。生産能力を上げるために、日本電産グループのモーションコントロール事業の同僚にも協力を得て、1000個以上のフェイスシールドを生産して、地域の医療従事者のニーズに合わせて生産力を更に上げることが可能な体制を整えました。
大規模なプロジェクトを自ら立ち上げるモチベーションについてコメントを求めたところ、Biro氏はこう答えました。「地域社会の強いニーズがあって、それに応えるノウハウとリソースがあると感じて行動しました。みんなの力を合わせることが重要だと思うので、自分なりに貢献する機会を見出して掴みました。また、自分の家族にも関係することですから、個人的なものだと感じられる側面もありました。仕事中にこのような社会貢献活動をすることを許容して応援してくれた日本電産モータの一員であることを誇りに思います。」
日本電産モータについて
米国ミズーリ州セントルイス市に本社がある日本電産モータは、2010年に日本電産グループの傘下に入った家電用、産業用、民生用のモータおよび制御機器のメーカーで、前身は米国有数の産業コングロマリット企業であるエマソン・エレクトリック社のモータ・コントロール事業です。日本電産モータは、米国を中心としてメキシコ、中国、英国等の各地に開発・生産及び販売拠点を多数有しており、一般消費者向けから産業用に至るまで、多岐にわたる製品を各国ニーズに合わせて提供しています。次世代モータ創造のリーダーとして、世の中にない製品を供給してまいります。