今年も多くの方に日本電産グループに入社いただいた。ご入社を心よりお祝い申し上げる。
日本電産グループは大きな成長が可能なマーケットにいるが、そのためには競争を勝ち抜かねばならない。今や、競争の舞台はグローバルだ。その点から、今日は大事なことをお願いしておきたい。
昨今のグローバル競争は非常に厳しい。特に中国企業の技術力・競争力が向上し、真っ向勝負の状態だ。皆さんには3つの P(Proactive, Professional, Productive)が必ず必要になってくる。日本人はとかく積極性がなく、自分から言葉を発しないが、それではとても戦っていけない。指示を待つのではなく、自ら考えて行動すること(Proactive)。そのため、自分の専門をはっきりさせ、それを磨くこと(Professional)。そして、生産性を上げること(Productive)。積極的に前にでて、生産性を上げ、専門性を磨くプロフェッショナルな人間になることが極めて重要である。
その前提になるいわば運転免許として、語学力、とくに英語を身につけること。世界の共通語である英語を話せないともはや仕事は出来ない。言葉はツールであり学問ではない。これをきっちり身につけないと昇進はおろか、海外出張もできない。世界のなかで働くからにはまず話せる英語を身につけることだ。
人間には IQ(知能指数)と EQ(感情指数)の二つがある。IQ は遺伝的なものであり、努力したからといって上がるものではない。だからといって IQ の高い人に競争に負けるということは絶対にない。EQとは、この製品を開発するぞとか、あの顧客から注文を取るぞという、ほとばしるような「情熱・熱意・執念」であり、「すぐやる・必ずやる・出来るまでやる」という強い気概である。この EQ は努力すればするほど数値が上がる。IQ の差は一部の天才は別としてせいぜい5倍だが、EQ の差は努力次第で 100倍にもなる。EQ は IQ が高い人を抜く力となるのだ。EQ を伸ばすこと、一生懸命に働き、努力することが人生を大きく変えていくことを理解して欲しい。
最初から専門能力があるわけではない。これから 1 年間は月給泥棒でいいから、恥ずかしがらず何でも上司に聞いて学び、ちょっと叱られたぐらいで気落ちせず、下積みをきっちりしてほしい。企業競争も個人の競争も極めて厳しいということを認識して、今日から緊張感をもって先輩から学ぶこと。まずスタートが肝心だ。人生は 35 才までに勝負が決まる。青春を謳歌するのか、社会人としての基礎を作り上げ高い報酬を得ていくのか、どちらを選ぶかという大きな勝負の 10 年だ。努力だけは絶対に人を裏切らない。絶対負けない気持ちで努力すれば、皆さんには極めて明るい将来が待っているから、ぜひ頑張ってほしい。
日 本 電 産 株 式 会 社
代表取締役会長 永 守 重 信
以上