2-2-6 ロータの検出

ブラシレスDCモータのコイル通電切り替えでは、ロータの位置を検出して電流を切り替える必要があります。そのためには、ホール素子という磁力によって出力電圧が変化する「半導体センサ」を用いるのが一般的です。

ホール素子は、図2.30 に見るように、大きさが数mmで、モータ内部に取り付けることが可能です。

この素子は、図2.31 のように半導体に電流Iが流れ、その電流と直角方向に磁束Bが透過しているとき、電流Iと磁束Bと直角の方向に電圧eが発生する現象を利用した素子です。

これはフレミング左手の法則により、電子に力が加わって、半導体の側面に電子が寄り添って移動するためです。この現象は、アメリカのホール(E.H.Hall)によって発見され、ホール効果と呼ばれています。

ホール素子は、モータのN極とS極が近づくと、相互に出力が切り替わります。

チップ型ホール素子の例
図2.30チップ型ホール素子の例
ホール素子の原理
図2.31ホール素子の原理。磁界があるとフレミングの左手の原理による力を受けて電子が片側に寄る
ホール素子を 1 個用いた最も簡単なブラシレスDCモータ
図2.32ホール素子を1個用いた最も簡単なブラシレスDCモータ

図2.32 は、ホール素子を利用して、ブラシレスモータの通電を切り替える最も簡単な原理図です。

これは余談ですが、ホール素子の[hc:l]を正孔のhole[houl]と取り違えないようにしましょう。

<一口コラム> ホールIC

ホール素子からの出力は小さいので、実用上は出力を電子回路で増幅したり、コンパレータという電子回路を用いてスイッチング出力に変換します。

ホール素子と電子回路をワンチップに一体化したのが、ホールICと呼ばれるICです。

ホールICには、リニア型とスイッチング型があり、両者は制御方法によって使い分けられます。

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