2-2-2 ブラシレスDCモータの構造と用途
インナーロータ型
ブラシレスDCモータには、磁石をロータ(回転子)にして内側に収容し、巻線をステータ(固定子)にして外側に配置したインナーロータ型と呼ばれる形式があります。
図2.23 で比較しているように、従来のDCモータとは構造が逆になっています。この形式はDCモータと比べ、次のような特長があります。
- ・回転軸の慣性モーメントが小さい
- ・本体が小型化できる
- ・放熱が良い
しかし、小型の磁石で強力な磁束密度を作るには、高性能磁石が必要です。
また、ステータ内側に多数のコイルを巻くのは、ロータのように、外側からコイルを巻くのに比べて大変です。このためインナーロータ型モータは、現状では小型でも高出力で、優れた動特性を必要とする用途に使われます。
アウターロータ型
インナーロータ型とは逆に、内側にコイルを、外側に磁石を配置して、外側を回転させる形式があります。これをアウターロータ型といいます(図2.24)。
アウターロータ型はインナーロータ型に比べ、回転軸の慣性モーメントは大きいのですが、磁石を小型化する必要がなく、コイルを巻くにも有利な構造です。
アウターロータ型モータは、ハードディスク駆動用モータなどに採用されています。
ロータを扁平にして、コイルをプリント基板に直接取り付け、薄型モータにした構造もあります。
この型式は、フロッピーディスクの駆動モータやブラシレスファンなどに採用されています。
コイルの構造
一般的なブラシレスDCモータのコイル数は、3の倍数が基本です。コイルの巻き方には、前出図2.22 のような分布巻と、図2.24や図2.25に示すような集中巻とがあります。
当初は、分布巻のモータもありましたが、最近では集中巻が一般的です。
ロータ磁石にはN極とS極があり、NとSとが各1つあれば、ロータは2極であるといいます。
NSNSなら4極です。コイル数とロータ磁極が大きいほど、きめ細かい制御がしやすくなります。
サーボモータでは、コイル数が9あるいは12、ロータは8極程度とする構成が一般的です。
大型アウターロータ型モータには、磁極とコイルがさらに多いモータもあります。